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専門家コラム Professional Eye

2018年1月12日更新

元総務部長が語る「総務の仕事とは」

「よい総務」がよい会社を創る!

[河西知一氏(特定社会保険労務士)]

備品管理からトラブル対応まで、総務の仕事は多岐にわたります。そのため、「便利な何でも屋」とみられがちですが、それは大間違い。元総務部長の人事・労務コンサルタントが、「総務の仕事」について語ります。

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総務部が会社の将来を左右する!

「総務の仕事は、利益を生まない」
「総務は、他の部門をサポートする仕事である」

もし、あなたが「総務の仕事」をそのように考えているとしたら、たいへん残念なことです。まずは、そうした発想自体を根本から見直してください。

総務の仕事は、会社の利益確保におおいに関わります。
社員が生き生きと働くよい会社には、必ず「よい総務」があります。

しかし、そうはいっても現実には、「総務は会社の何でも屋だ」くらいに思っている人が少なくありません。私は外資系企業と日本企業の両方で総務(人事)部長を務めた経験がありますが、外資系企業に比べると日本企業のほうが、やや「総務部を軽んじている」印象を受けます。

もっともこれは総務部だけに限りません。日本の会社では、管理部門の仕事は「結果の整理を行うこと」だと考えられてきました。例えば、「経理部の仕事は会計処理をすること」というのも同様の考え方です。

しかし、もちろん経理部の仕事はそれだけにとどまりません。むしろ、そうした「誰が作業しても結果が同じになる仕事」に大きな時間と労力を割くべきではありません。場合によっては、作業そのものをアウトソーシングすることを検討してもいいでしょう。
その分の時間と労力を使って、これからの経理担当者は、将来の企業発展のための作業にこそ専念するべきです。

総務部門においても、そうした考え方がトレンドになりつつあります。経理部門などに比べて時間がかかった理由としては、総務が関わる領域が非常に多岐にわたっていることがあげられます。

人口減少期を迎え、これからの日本は労働力も消費力もパイがどんどん小さくなっていきます。人の採用も商品の販売も、いよいよ競争が激しくなっていきます。この厳しい時代において会社が成長していくためには、単にコストを削減するのではなく、本当の意味で、ムダを削ぎ、生産性を向上させることを目指さなければなりません。

そのための指令本部になること。これこそが総務の役割なのです。総務部が会社の将来を左右する、といっても過言ではありません。

総務部は情報管理の“司令塔”となれ

会社の最もシンプルな形は、製造部門と販売部門、そして総務部門。この3つが基本です。経理部や人事部、渉外部、広告宣伝部、企画部などは、もともとは総務部であったものが、専門性が高まるのとともに独立していった部門といえます。

それでは、最後に残された総務部の仕事とは何でしょう。

備品管理や文書の保存でしょうか? 違います。そうしたものは総務の守備範囲の一部ではあっても、核心となる仕事ではありません。

総務部の最も重要な仕事は、「情報管理」です。といっても、それは個人情報や顧客情報を管理する、ということだけを指すのではありません。

総務部から独立していった経理部や人事部など各管理部門がもつ情報を統括し、部門ごとに情報の壁ができないようにする。あるいは管理部門と販売部門、管理部門と製造部門、販売部門と製造部門の間で必要な情報を共有できるようにする。
また、経営トップが発信する情報(経営方針・経営理念など)を社員へ流す、逆に現場の情報(課題・提案など)を吸い上げ、経営者が的確な判断を下せるように補佐する。

会社の中で、情報管理の“司令塔”として機能することが、総務部の最大の役割といえます。


■総務部に求められる「情報管理」
・社内の情報はすべて総務部に集約する →流すべき情報と流してはいけない情報を峻別する ・部門・役職を超えて必要な情報を共有できるようにする →部分最適を全体最適へ。ムダを見つけ、会社の生産性を高める ・経営トップからの情報を社内外へ発信する →経営理念の浸透、企業風土の醸成、会社のブランディングの確立
総務部に情報が集約され、必要な情報の共有化ができる会社では、経営トップは会社全体にとって最適と思われる経営判断を下すことができます。一方、各部門レベルで情報が滞留している会社では、部門長が下した結論が会社全体にとっても最適なのかどうか、経営トップは判断することができません。

例えば、第1営業部の部長は、第1営業部にとって最適な判断を下そうとするものです。しかし、第1営業部にとっての最適が、営業部全体あるいは会社全体にとっての最適とは限らないのです。

集約された情報を元に、全体最適という視点から経営トップの判断を助けることも、総務部が担うべき役割です。

流すべき情報と流してはいけない情報を峻別するのも総務の仕事です。さらに、情報をどのような形式で、あるいはどんな言葉にして伝えるのがいいか、そうしたところにも細心の注意を配るのが、「よい総務」なのです。

総務部の仕事が、文書管理など“結果のファイリング”に偏っている会社は、早急に総務部の業務改善を図るべきです。そしてその際には、

「総務は直接利益を生まない部門」「総務は非生産部門」

といった言葉を使用禁止にすることから始めていただきたいと思います。
お知らせ

2018年4月に1日集中講習会
「総務は会社の司令塔たれ!これからの総務部課長の役割」を開催!
組織の中核となるべき、これからの総務部課長の役割について、コラム執筆者である河西知一氏に講義していただきます。

お申込受付を開始次第、当サイトにてお知らせいたします。

執筆者プロフィール
河西 知一

【特定社会保険労務士】

大手外資系企業などの管理職を経て、平成7年社会保険労務士として独立後、平成11年4月にトムズ・コンサルタント株式会社を設立。労務管理・賃金制度改定等のコンサルティング実績多数。その他銀行系総研のビジネスセミナーでも明快な講義で絶大な人気を誇る。著書に『モンスター社員への対応策』(泉文堂)など。