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専門家コラム Professional Eye

2018年6月25日更新

働き方改革・法改正でやるべき有給休暇管理はこう進める

[第1回] 有給休暇の取得義務化に、どう対応する?

[大東恵子氏(特定社会保険労務士)]

年次有給休暇は労働者の権利として認められているものではありますが、会社としては今後、その取得・消化について、よりいっそう適切に管理していかなければならない問題です。働き方改革や法改正などの影響で、計画的付与、半日有休の実施など、有給休暇の管理は、ますます煩雑になりそうです。 有給休暇の取得義務化など、これから起こりうる課題とそのマネジメントについて探っていきます。

義務化の背景

有給休暇は何のためにあるのでしょうか。
その目的は「労働者の疲労回復、健康の維持・増進、その他労働者の福祉向上を図ること」と考えられています。すなわち、休暇を取得させることで、労働者の心身をリフレッシュさせることがねらいです。
昨今の働き方改革を受けて、有給休暇をよりいっそう積極的に取得させる機運が高まっています。
政府は、2015年12月25日付「第4次男女共同参画基本計画」(内閣府男女共同参画局)のなかで、原則「2020年までに有給休暇取得率70%とする」との数値目標を掲げています。しかしながら、独立行政法人労働政策研究・研修機構による「年次有給休暇の取得に関する調査」(2011年)を見ると、いわゆる正社員の約16%が年次有給休暇を1日も取得しておりません。

さらには、週労働時間が60時間以上になると労働者の27.7%が年次有給休暇を1日も取得していないとの調査結果も出ています。また、同調査において、年次有給休暇の取得が5日以下となっている正社員の割合は、45.7%にも及んでいます。このことは、2016年の「過労死等防止対策白書」(厚生労働省)でも公表されています。

これらを踏まえ、時季を指定した上で、強制的に年5日の有給休暇を消化させることを使用者に義務付けさせる労働基準法の改正法案が国会に提出されたのです。

年5回の強制取得(計画年休)とその対象外

本稿執筆時点において改正法案は成立していませんが、仮に2018年国会で法案が可決成立されるなら、2019年には施行される見通しです。その内容は、「10日以上の有給休暇が付与される労働者に対して、有給休暇のうち5日は、有給休暇が発生した日から1年以内に、使用者が時季を指定して取得させる義務が発生する」というものです。このルールは、正社員だけでなく、短時間勤務で有給休暇の比例付与を受けているパートタイマーに対しても、年間10日以上の有給休暇を付与している場合には適用されます。

現在は一般的に、労働者が使用者に有給休暇の取得時期を申し出て、使用者がこれを認めることで有給休暇を消化しています。しかし、「職場の雰囲気・空気」「業務量の多さ」に配慮して、労働者から有給休暇の取得を申し出しにくいのが現状です。
そこで、有給休暇について定めている労働基準法第39条に、使用者が労働者ごとに時季を定めて有給休暇を与えなければならない、という条文を追加します。

これに対して、労働者がすでに有給休暇を5日以上取得している場合や、取得済の有給休暇と取得予定の有給休暇の日数が5日以上ある場合は、この強制取得の対象外としています。すなわち、使用者は、労働者に発生した有給休暇のうち、5日を超えて取得させる義務を負うものではありません。

有給休暇消化日数はどう管理するのか

これまでは、ほとんど有給休暇を消化しない社員のことを気にする必要はなかったのかもしれません。しかし、今後は、全社員が年度ごとに5日以上の有給休暇を消化しないと、使用者に6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金が課される恐れがあります。

これからは、労働者ごとに、有給休暇の付与日(これが基準日になる予定です)、付与日数だけでなく、基準日から1年以内の有給休暇消化日と基準日までに消化しなければならない日数を管理していくことが求められることでしょう。
執筆者プロフィール
大東恵子氏(特定社会保険労務士)
大学卒業後、日商岩井株式会社(現在の双日株式会社)に入社。1997年に同社を退職後、独立。現在、東京、大阪をはじめとする5拠点に展開する、あすか社会保険労務士法人の代表社員として活躍中。社会保険手続きや給与計算はもちろん、企業の労務管理を総合的に支援している。
http://www.all-smiles.jp/