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住民税の基礎控除、令和8年度分以降も変更ナシ? 理由と注意点も解説

2026年5月22日更新

経理・税務 最新トピックス

住民税の基礎控除、令和8年度分以降も変更ナシ? 理由と注意点も解説

[鈴木 まゆ子氏(税理士・税務ライター・日本経済大学非常勤講師) ]
令和7年度税制改正において、年収の壁が「103万円→160万円」となりました。一因に基礎控除の引き上げがあります。ただし引き上げは所得税のみ。住民税の基礎控除は据え置きとなっています。反映されるのは所得税は令和7年分、住民税は令和8年度分です。

今回、年収の壁の引き上げを確認し、住民税で基礎控除が据え置かれた背景と今年6月からの注意点を解説します。

■令和7年度税制改正で所得税の基礎控除は引き上げに

令和7年度税制改正では、基礎控除額が引き上げられました。所得税の基礎控除額は次の通りです。

※令和7年分の基礎控除額は令和8年11月30日までの年末調整・準確定申告に適用されます
合計所得金額 所得税の基礎控除の金額
令和6年分まで 令和7年分
132万円以下 48万円 95万円
132万円超
336万円以下
88万円
336万円超
489万円以下
68万円
489万円超
655万円以下
63万円
655万円超
2,350万円以下
58万円
2,350万円超
2,400万円以下
48万円
2,400万円超
2,450万円以下
32万円
2,450万円超
2,500万円以下
16万円
2,500万円超 0円
なお、令和8年度税制改正で令和8年・9年分の所得税の基礎控除がさらに改正されました。令和8年12月1日以降の年末調整、令和8年分の確定申告から適用されます。令和10年分以降については、2年ごとの改正となる見込みです。

■住民税の基礎控除の引き上げはナシ! なぜ?

一方、住民税では基礎控除の引き上げがありません。令和8年度も、これまでと変わりなく基礎控除は43万円のままです。

なぜ引き上げにならなかったのか。各年度の税制改正大綱にはこのような一文があります。
個人住民税については、「地域社会の会費」的な性格を踏まえ、所得税の諸控除の見直しのほか、地方税財源への影響や税務手続の簡素化の観点等を総合的に勘案し、給与所得控除の見直し、大学生年代の子等に関する特別控除の創設並びに扶養親族及び同一生計配偶者の合計所得金額に係る要件の引上げについて対応することとし、令和8年度分の個人住民税から適用する。
引用元:令和7年度税制改正大綱(自由民主党・公明党)
https://storage2.jimin.jp/pdf/news/policy/zeisi_2025.pdf
要は「個人住民税は地域社会の会費的な要素が強いから、基礎控除は引き上げない」ということです。

地方自治体、特に区市町村は教育や医療など、地域の行政サービスの主体です。この行政サービスの財源となるのが個人住民税を含む地方税です。もし基礎控除を引き上げると財源が減ります。結果、行政サービスの維持が難しくなります。そのため「住民税の基礎控除は引き上げない」とされました。

ただ、令和7年度税制改正において給与所得控除は10万円アップされています。そのため、住民税の年収の壁は令和8年度で110万円 と考えるとよいでしょう。
引用元:総務省説明資料(〔個人住民税について〕令和7年5月15日)(税制調査会)
https://www.cao.go.jp/zei-cho/content/7zen5kai2.pdf
なお、令和8年度税制改正では給与所得控除はさらに9万円アップされました。令和9年度・10年度の住民税の年収の壁は119万円と考えるとよいでしょう。

■令和8年6月以降の注意点:「所得税は非課税、住民税は課税」となる人も

5月下旬頃から、各会社の経理には住民税の決定通知書が届きます。中にはパート・アルバイトで「住民税が生じた」というケースが出てくる可能性があります。

この場合、次のいずれかが原因かもしれません。

●理由1:年収の壁ギリギリまで稼いだ

パート・アルバイトの住民税は、これまでほぼ発生しませんでした。「103万円の壁」の頃は、所得税・住民税が非課税となる上限ラインに大きな差はなかったからです。

しかし「160万円の壁」となると話は別です。この壁が大幅に引き上げられたのは所得税のみ。住民税は引き上げられていません。そのため、課税最低限のラインに所得税・住民税で乖離が生じることとなります。

年150万円稼いでいる主婦パートや大学生バイトの中には、「昨年の年末調整では所得税0円だったけど、今年の6月から住民税がかかる」という人が出てくるかもしれません。

●理由2:所得控除の申告もれ

年収の壁の引き上げで、年末調整で特定の所得控除を申告しなくても所得税がかからないケースが出てきました。代表的なのが勤労学生控除です。

令和6年分の年末調整では、大学生バイトにおいて勤労学生控除の申告は必須でした。申告しないと所得税・住民税がかかるからです。
それが令和7年分以降は、勤労学生控除を申告しなくても所得税はかかりません。基礎控除を含め、年収の壁そのものが引き上がったからです。

しかし、ここで安心して勤労学生控除を申告せずに年末調整を終わらせると、翌年6月からの住民税の所得割が高くなります。住民税では基礎控除額は従来通りだからです。
今年の6月、大学生バイトから「なんで給料から住民税がこんなに引かれるんですか」と聞かれることがあるかもしれません。
所得控除の申告もれについては、区市町村であらためて住民税の申告をすれば直ります。ただ、本人にとっては負担となるもの。
次回の年末調整から「住民税での壁は所得税よりも低い」「すべての所得控除を申告すべし」とお知らせしたほうが安心です。
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執筆者プロフィール

鈴木 まゆ子氏(税理士・税務ライター・日本経済大学非常勤講師)
2000年中央大学法学部法律学科卒。(株)ドン・キホーテ入社後、会計事務所に転職。2012年税理士登録。外国人の確定申告のサポートをしつつ、記事・執筆・講演を行う。朝日新聞『相続会議』、マイナビ税理士、ソリマチ「みんなの経営応援通信」などで税務・会計の記事を800超執筆。わかりやすい記事に定評がある。
著書「誰でも簡単インボイス制度がわかる本 (MSムック) 」のほか、共著2冊。

執筆実績
https://foriio.com/mayusuzu8

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