「食料品の消費税率を2年間、1%にする」という基本方針が8月5日に閣議決定されたのです。
国会での審議はこれからとなりますが、企業経理はどういう点に注意すべきか、今から知っておく必要があります。
「食料品の消費税率1%」政策とはどういうものなのか、「10%か1%」かの判定すべき場面と分け方、注意点を2回に分けて解説します。
今回は、食料品の消費税率1%施行後の注意点についてです。
■消費税の計上のタイミングは決済時ではない
消費税の計上のタイミングは、決済時ではありません。国内取引については、次のようになっています。 軽減税率の対象となる飲食料品の消費税の計上のタイミングは、引渡し時となります。
これが令和9年3月31日以前なのか、あるいは令和9年4月1日以降なのかで、「8%で計上するか、1%で処理するか」が変わります。
■インボイスの経過措置にも注意を!
インボイス制度の開始にあたり、いくつか経過措置が設けられました。そのなかに「インボイスの発行事業者以外から仕入れた場合の仕入税額控除の経過措置」があります。
【インボイスの経過措置①】少額特例の適用には条件あり
インボイスの経過措置の1つに「少額特例」があります。これは「1回あたりの支払額が税込で1万円未満ならば帳簿保存だけで仕入税額控除ができる」というものです。
たいていの飲食関連の支払いはこの「税込1万円未満」に該当するため、税率だけ気をつければ問題はなさそうです。なので「税率が8%か1%か」にそれほど注意を払わなくてもよいように思われます。
ただし、この少額特例は「基準期間の課税売上高が1億円以下または特定期間の課税売上高が5,000万円以下の事業者」のみが対象となります。
前々事業年度の課税売上高が億単位ならば、次の経過措置で対処することになります。
【インボイスの経過措置②】「70%控除・50%控除」は「切り替わり」に注意
経過措置の2つ目です。受け取った請求書や領収書の記載内容がインボイスでなかったとしても、区分記載請求書の記載要件を満たしているのならば「消費税相当額の80%」を売上分の消費税額から控除してよい、とされていました。
この扱いは令和8年9月30日で終わりを迎え、令和8年10月1日から2年間「消費税相当額の70%を控除」という形になります。 この70%控除は「食料品の消費税率1%を施行する2年間」の間に50%控除に切り替わります。
そのため、インボイスの発行事業者以外からの仕入れにかかる税額控除額の計算は、時期によって次のように変わります。
| 期間 | 控除額 |
| 令和8年10月1日から令和9年3月31日まで | 税率8%×70%相当額 |
| 令和9年4月1日から令和10年9月30日まで | 税率1%×70%相当額 |
| 令和10年10月1日から令和11年3月31日まで | 税率1%×50%相当額 |
| 令和11年4月1日から | 税率8%×50%相当額 |
※令和8年8月17日現在の法令と報道事実に基づく
飲食業者のなかには、インボイス登録をしていないところが少なくないので、こちらも意識しておきたいところです。
【インボイスの経過措置と食料品の消費税率1%まとめ】
インボイスの経過措置と食料品の消費税率1%の関係を図にまとめると、次のようになります。
引用元:インボイス経過措置の見直し等|国税庁 (赤枠と赤い矢印は筆者作成)
■おわりに:「10%⇔1%」の開きが納税額に影響することも
「食料品の消費税率1%」政策は、「これまで税率8%で処理してきたものを税率1%で計上する」ことになるわけです。言葉で表現するのは簡単ですが、実務は注意が必要となります。
「10%⇔8%」と「10%⇔1%」とでは、税率の開きが大きく異なるからです。
これまではちょっとしたミスでも「ミスだから仕方ない、たった2%だし」で済んだかもしれません。
しかし令和9年4月からの2年間は、「9%」の違いが納税額に影響するおそれがあります。
この2年間については、二重チェック等でミスを防ぐ対策をより意識したほうが安心でしょう。










