
制審議会会社法制(株式・株主総会等関係)部会は、会社法の見直しについて、株主総会前の採決を認め、株主総会の負担を軽減することを検討しています。
2つの案が俎上に
部会の資料では、事前の議決権の行使について、次の2つの案が示されています。
【A案】
事前の議決権の行使により株主総会の決議があったものとみなす制度として、次の①から③までの規律を設けるものとする。
①株式会社は、株主総会を招集する場合には、「会社法298条1項3号または4号に掲げる事項を定めた場合において、株主総会の目的である事項に係る議案について、事前の議決権の行使により、当該議案について議決権を行使することができるすべての株主が出席した場合における株主総会の決議の要件を満たしたときは、事前の議決権の行使の期限を経過した時に当該議案を可決する旨の株主総会の決議があったものとみなす旨を定めることができる」旨を定款で定めることができる。
②株主総会の招集の決定時に定めるべき事項として、「会社法298条1項3号または4号に掲げる事項を定めた場合において、株主総会の目的である事項に係る議案について、①の規定による定款の定めに従い株主総会の決議があったものとみなすときは、その旨」を加える。
③取締役は、①の規定による定款の定めにより株主総会の決議があったものとみなされた場合には、その旨を株主総会に報告しなければならない。
【B案】
株主総会の目的である事項に係る議案について、事前の議決権の行使の期限までに、事前の議決権の行使により、当該議案について議決権を行使することができるすべての株主が出席した場合における株主総会の決議の要件を満たした場合には、株主総会の決議の方法が法令または定款に違反したことは株主総会の決議取消事由とならないものとする。
部会では、株主総会の決議取消事由への対策なども踏まえつつ、2026年度にも会社法の改正を目指すとしています。
注目したい法改正の動向
豪雨等の自然災害が激甚化するなかで、気象業務法と水防法を一括改正し、観測・予測技術や情報通信技術を踏まえた予報・警報の高度化・適正化を図る法律案が閣議決定されました。洪水の特別警報や高潮の共同予報・警報の創設、外国法人等による予報業務に関する規制の強化などが行なわれます。
デジタル技術を用いた新たな遺言の方式に関する規律を整備することを中心とした「民法(遺言関係)等の改正に関する中間試案」についてのパブリックコメントの結果が集約されました。遺言の全文等を電磁的記録により作成し、公的機関で保管する方式については賛成意見のみでしたが、遺言の全文等を電磁的記録により作成し、遺言者による全文等の朗読を録音等により記録する方式については反対意見も相当数寄せられました。法制審議会民法(遺言関係)部会はこれらの意見を参考にしつつ、改正に関する要綱案をとりまとめる予定です。
厚生労働省の労働政策審議会労働条件分科会電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律の在り方に関する部会が報告書をとりまとめました。スト規制法の位置付けを規制的なものから電気事業の現状に整合的なかたちに見直しを行なうべきであるとしつつ、安定供給を支える電気事業の業務の代替性等の確保によるリスク・マネジメントの進展の状況を総合的に勘案して、廃止も含めてその在り方を引き続き検討すべきであるとしています。
市販薬の過剰摂取(オーバードーズ)問題を受け、薬事審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会は、改正薬機法で販売規制の対象となる「指定濫用防止医薬品」を追加指定する案を明らかにしました。