国民の自立を支え、安心して生活ができる社会基盤を整備するという社会保障の原点に立ち返り、その本源的機能の復元と強化を図るとしています。
厚生労働省案では基本的方向性として、
の4つが示されています。これを踏まえて、
についてまず優先的に取り組む、としています。
個別分野についての主な具体的改革項目として、
Ⅰ 子ども・子育て
子ども・子育て新システムの制度実施に伴い、保育等の量的拡充や幼保一体化などの機能強化を図る
Ⅱ 医療・介護等
サービスの提供体制の効率化・重点化と機能強化を図る。そのため、診療報酬・介護報酬の体系的見直しと基盤整備のための一括的な法整備を行なう/保険者機能の強化を通じて、医療・介護保険制度のセーフティネット機能の強化・給付の重点化などを図る
Ⅲ 年金
国民的な合意に向けた議論や環境整備を進め、「新しい年金制度の創設」実現に取り組む/年金改革の目指すべき方向性に沿って、現行制度の改善を図る/業務運営の効率化を図る
Ⅳ 就労促進
全員参加型社会の実現のために、若者の安定的雇用の確保、女性の就業率のM字カーブの解消、年齢にかかわりなく働き続けることができる社会づくり、障害者の雇用促進に取り組む/ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の実現を図る/雇用保険・求職者支援制度の財源について、関係法の規定を踏まえ検討する
などが挙げられています。
こうした改革を進めることによって、政府は2015年度における社会保障給付にかかる公費を47.4兆円(うち年金・医療・介護および子ども・子育て分野にかかる費用を42兆円)と推計しています。この公費負担は、消費税収を主要な財源として確保するとしています。
そのため消費税を社会保障の目的税とすることを法律上、会計上も明確にすることを含めて、区分経理を徹底する等、その使途を明確化するとしています。まずは、2015年度までに段階的に消費税率(国・地方)を10%まで引き上げ、当面の社会保障改革にかかる安定財源を確保する、というのです。
税制については、社会保障・税に関する共通番号制の早期導入を図り、所得、消費、資産にわたる税制全般の改革を実施していくともしています。
社会保障制度の改革が必要だということについての問題認識は一致していると思われますが、震災対応等のまずさなどから政府の求心力・実行力はますます弱まっている感があるなか、調整は難航しそうです。