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消費者庁の権限を拡大する消費者安全法等の見直しを検討

社会経済の構造変化に伴い、消費者被害は複雑化・多様化の傾向をみせています。そこで2009年に消費者庁が設置されましたが、消費者庁関連3法の施行後3年を目途として、加害者の不当な収益をはく奪し、被害者を救済するための制度について検討を加え、必要な措置を講ずるものとする、という附則が設けられていました。
そこで消費者庁は、集団的消費者被害救済制度研究会を設置し、「集合訴訟制度」と「行政による経済的不利益賦課制度及び保全制度」を検討すべきという論点整理を行ないました。そして、後者の制度に関する検討チームが、その検討結果をとりまとめたものを公表しました。
■ 不十分だった消費者保護

これまで投資詐欺などの深刻な財産的被害を発生させる、いわゆる悪徳商法は、各種の個別業法や特定商取引法、消費者安全法による対応が図られてきました。しかし、個別業法による規制は無登録業者を行政処分の対象にできません。特定商取引法の規制は特定の類型の取引にしか適用されません。消費者安全法は重大な消費者被害を引き起こしている事業者に対して直接措置をとることができないため、財産分野の事案における消費者保護の対応には限界があります。
そして、悪質な事業者の場合は財産を隠匿・散逸する場合が多く、個々の消費者が裁判で勝訴しても民事執行による回収に結びつかないケースが多いのが実情です。消費者の被害回復や、それに向けた財産保全のために機能する制度が少ない、という問題もあります。

■ 消費者庁の権限拡大

そうした問題への対策を、結論として、次のようにとりまとめています。

・どの省庁も対応しない、財産における「すき間事案」に関して、消費者安全法に消費者被害の発生・拡大を防止するための、消費者庁による事業者への行政措置(勧告・命令等)の導入・行政措置を発動するための消費者庁の調査権限の拡充 ・調査の過程で犯罪利用預金口座等の情報を得た場合における、消費者庁による金融機関への情報提供義務規定の導入

これらの提言から、適切な対策がとれるよう、主に消費者庁の権限拡大を求めていることがわかります。そのための消費者安全法の改正について、対象行為・要件などの詳細を検討することが適当、としています。
さらに、具体的な個別業法を前提とした悪徳業者に対する経済的不利益賦課制度(課徴金制度)や、消費者庁による破産手続開始申立てについても、引き続き検討を行なうことが適当としています。
消費者庁は、今後、各論点に応じて有識者等の研究会を開催し、引き続き議論を深めるとしていますが、2010年に定められた消費者基本計画では、2012年通常国会への法案提出を目指すとしており、今後もこのスケジュールに沿った動きがありそうです。

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