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精神障害者が障害者雇用促進法による雇用義務の対象に?

厚生労働省の有識者会議である「障害者雇用促進制度における障害者の範囲等の在り方に関する研究会」は、平成23年11月以降、障害者雇用の範囲等について審議を重ねてきましたが、このほど報告書のたたき台を公表しました。
●障害者雇用を取り巻く状況

障害者雇用状況報告による平成23年6月1日現在の雇用障害者数は36万6,199人と8年連続で増加しており、実雇用率(各企業の雇用率)も1.65%で5年前と比べて上昇しています。なかでも精神障害者の増加が著しいとされます。

●障害者雇用促進制度における障害者の範囲

障害者雇用促進法における障害者の範囲について、報告書案では、障害者基本法の改正をふまえたものとすべきという意見はあるものの、現行法は「長期にわたる職業生活上の相当の制限」を個別に判断し、たとえば障害者手帳を所持しない発達障害者なども対象としており、本来対象とすべき者が障害者とされていると評価しています。
ただし、対象の曖昧さを排除する観点から、対象の明確化等について法制的な検討を行ない見直しをすることも考えられるとしています。

●雇用率制度における障害者の範囲

平成16年の労働審議会意見書では、精神障害者を将来的に雇用義務制度の対象とすることが考えられるとしつつ、前提として精神障害者の雇用に対する企業の理解と雇用管理ノウハウの普及を図り、雇用環境をさらに改善していく必要があるとも指摘していました。
平成18年度からは雇用率適用に関する特例が設けられ、精神障害者を雇い入れると実雇用率にカウントできるようになっています。そのほか精神障害者に対する企業の理解が進み支援策が充実するなど、雇用環境は改善され、義務化に向けた条件整備は着実に進展してきたことから、精神障害者を雇用義務の対象とすることが適当であると結論づけています。
精神障害者の雇用義務化にあたっては、精神障害者の特性として、症状の波があるといったこともあり、個人と企業のマッチングや定着を支援する体制、企業が外部の支援機関と連携して支援していく体制の充実が必要であるともしています。
なお、精神障害者保健福祉手帳の取得による障害の開示は、本人の意向によるものであり、雇用義務の対象とする際の対象者の把握・確認方法としてこの手帳で判断することが適当ともしています。
厚生労働省はこの報告をふまえ、障害者雇用促進法の改正案を来年の通常国会に提出する方針です。
法定雇用率の引上げが明らかになったばかりですが、法定雇用率は求職者を含む労働者に占める障害者の割合を基準に設定されます。
精神障害者の雇用が義務化されると算定基礎に含まれることになり、さらなる法定雇用率の引上げが想定されます。

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