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会社法制の見直しで社外取締役設置義務づけは見送りに

会社法制の見直しに向けて、法制審議会会社法制部会が「会社法制の見直しに関する要綱案」を決定・公表しました。
この要綱案では「企業統治の在り方」と「親子会社に関する規律」という2つのテーマが打ち出されています。その主な改正項目をみていきましょう。
●新たな機関設計

株式会社の新たな機関設計として「監査・監督委員会設置会社」(仮称)が新設されます。
監査・監督委員会設置会社は、取締役会、会計監査人、監査・監督委員会の3者によって構成されます(監査役は置けません)。監査・監督委員会は3人以上の取締役で組織され、かつ、その過半数は社外取締役でなければならないとされています。

●社外取締役の要件

今回の改正の焦点となっていた、監査役会設置会社(公開会社)への社外取締役の設置義務づけについては見送られました。ただし、社外取締役を置かない場合、「置くことが相当でない理由」を事業報告の内容とする、ともされています。
また、社外取締役と社外監査役の要件について、「株式会社の親会社等またはその取締役もしくは執行役もしくは支配人その他の使用人でないこと」を追加するなど、要件の厳格化がなされます。

●第三者割当増資の規制

公開会社における支配株式の異動を伴う募集株式の発行等について、現行法では原則、株主総会決議は不要とされています。
この原則を維持しつつ、募集株式の引受人の株式発行後における議決権数が総株主の議決権の50%を超えることになる場合で、議決権の10%以上を有する株主の反対があったときは、株主総会の承認を得なければならない、といった規制が導入されます。

●多重代表訴訟制度の導入

親会社株主の保護等について、多重代表訴訟制度が創設されます。多重代表訴訟とは、親会社の株主が、子会社に代わって原告となり、子会社の取締役等の責任を追及する訴えを起こすことです。
要綱原案を示した段階での制度導入への反対が強いことを鑑み、訴えを起こせるのは親会社の議決権または株式の1%以上を有する株主に限る、などの制限がつけられました。

●子会社の株式等の譲渡

親会社による子会社の株式等の譲渡について、譲渡する株式等の帳簿価額が当該子会社の総資産額の20%を超え、かつ、株式譲渡後の当該子会社の議決権保有割合が50%以下になるときは、株主総会の特別決議による承認が必要になります。
要綱案は原案と比べてやや厳しさが薄れたとはいえ、総じて経営監視の強化を打ち出した内容となっています。
法務省はこの要綱案をもとに、改正会社法案をまとめ、早ければ平成25年度中の施行をめざすとしています。

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