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厚生年金基金の「代行制度」縮小・廃止の方針示される

いわゆる「代行割れ問題」への対策が急務となっている厚生年金基金制度について、厚生労働省は社会保障審議会年金部会の下に「厚生年金基金制度に関する専門委員会」を設け、見直しの試案を提示しました。
この試案は次に掲げる3つの観点から、今後の方向性と具体策をとりまとめたものです。
●代行割れ問題への対応

いわゆる代行割れ問題については、これまでも特例解散制度による分割納付の特例や厚生年金本体への納付額の特例を時限措置として設け、対応を図ってきました。
しかし、産業構造の変化等に伴い母体企業の負担能力が著しく低下している基金では、現行の特例措置を用いても解散できない状況にあるという厳しい認識を示しています。
そこで、代行部分の積立不足は母体企業が負担することを基本とし、連鎖倒産等による地域経済・雇用への影響や厚生年金本体の将来の財政リスク軽減の観点から、現行の特例解散制度の基本的な考え方・枠組みを維持しつつ、一定の見直しを行ないます。
具体的には、特例解散のプロセスとして、代行割れとなっている基金が厚生労働大臣に申請し、認可を受ける「自主解散」を基本とし、代行割れの度合いが高いが自主解散しない基金については第三者委員会の議決を経て指定を行ない、一定期間内に解散を促す「清算型解散(仮称)」を導入します。特例制度についても基金解散のインセンティブが働くよう、納付期間の延長、納付額の新特例などの案が挙げられています。
見直し後の特例解散制度は5年間の時限措置とされます。

●選択肢の多様化

持続可能な企業年金を普及させるため、企業年金の選択肢の多様化を進めるとしています。
その具体的な制度として、「キャッシュバランスプランの給付設計の弾力化」「集団運用型DC(仮称)の創設」が挙げられています。
また、厚生年金基金から他の企業年金への移行を支援するための特例措置を設けます。その措置として、移行時の積立不足の償却期間を現行の20年から30年に延長することや、支払保証事業を代行返上支援事業に見直すことなどが示されています。

●代行制度の見直し

代行部分の債務である最近責任準備金の計算方法について、厚生年金本体との財政中立の範囲内で適正化を図るとともに、今後の持続可能性に関する検証等をふまえ、代行制度は10年間の移行期間をおいたうえで、段階的に縮小・廃止します。
移行期間中の制度運営にあたっては、解散認可基準等の見直しも行なわれます。
厚生労働省はこの試案について、専門委員会での成案が得られれば、所要の法律改正案を次期通常国会に提出する予定です。

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