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電力使用制限を「勧告」できる制度を新設

原発が止まり電力不足への対応が大きな課題となっている昨今、低廉で安定的な電力供給を維持すべく、経済産業省が電力システム改革の動きを進めています。
昨年7月に電力システム改革専門委員会がまとめた基本方針では、改革の三本柱として、
(1) 需要サイド(小売分野)の改革
(2) 供給サイド(発電分野)の改革
(3) 送配電分野の改革(中立性・公平性の徹底)
を挙げています。その具体策として(2)を先行させる形で広域系統運用機関の創設などを定める改正電気事業法案が今通常国会に提出される予定ですが、(1)の具体策として検討されてきた「販売自由化」や(3)の「発送電の分離」は今回の法案には盛り込まれない見込みです。
●義務でも罰則はない

一方、この動きとあわせて方針が明らかになっているのが、電力使用制限令の見直しです。
電力使用制限令は、停電を防ぐために一定程度電力使用を減らすよう、政府が企業等の大口需要家に強制できるという制度です。
震災後の2011年7月~9月に使用制限令が発動され、停電を回避するための節電の取組みにつながりましたが、対象となった大口需要家の4.4%に超過実績がみられました。
一方、違反したときの罰則(100万円以下の罰金)が厳しく、対応する企業側の負担が重いという声も挙がっていました。
そうした事情から、2012年以降は電力需給が厳しい状況のときも政府は使用制限令を発動せず、自主的な節電を求める「要請」にとどめてきました。要請には法的な根拠はなく、その効果が現われづらい、という問題もありました。
そこで、より緩やかな制度として、命令と要請の間に位置づける、罰則はないが節電を強制することができる「勧告」の制度を新設し、政府の節電要請の実効性を高めようという方針が打ち出されています。
現在、勧告に違反しても罰則はないものの、まったく従わない需要家に対しては制限令に移すことにより、2段階で実効性を保つ、という案が有力になっています。

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