一方、この動きとあわせて方針が明らかになっているのが、電力使用制限令の見直しです。
電力使用制限令は、停電を防ぐために一定程度電力使用を減らすよう、政府が企業等の大口需要家に強制できるという制度です。
震災後の2011年7月~9月に使用制限令が発動され、停電を回避するための節電の取組みにつながりましたが、対象となった大口需要家の4.4%に超過実績がみられました。
一方、違反したときの罰則(100万円以下の罰金)が厳しく、対応する企業側の負担が重いという声も挙がっていました。
そうした事情から、2012年以降は電力需給が厳しい状況のときも政府は使用制限令を発動せず、自主的な節電を求める「要請」にとどめてきました。要請には法的な根拠はなく、その効果が現われづらい、という問題もありました。
そこで、より緩やかな制度として、命令と要請の間に位置づける、罰則はないが節電を強制することができる「勧告」の制度を新設し、政府の節電要請の実効性を高めようという方針が打ち出されています。
現在、勧告に違反しても罰則はないものの、まったく従わない需要家に対しては制限令に移すことにより、2段階で実効性を保つ、という案が有力になっています。