平成14年に当時の小泉純一郎首相が「知的財産立国宣言」をして以降、知的財産基本法の施行や50本以上の関連法の改正などの取組みが行なわれてきました。その結果、これまでの10年で、知的財産分野において多くの進捗がみられたと分析しています。
ただし一方で、新興国の成長やビジネスのグローバル化、コンテンツメディアの多様化など、社会情勢は急激に変容しています。知的財産をその強みとして世界のリーダーシップを取っていくべきという立場から、今後の知的財産政策を再構成するというものです。
ビジョン案は今後10年を見据えた取組みとして、次の4点を柱に据えて展開していくとしています。
ここで1.の基盤整備として、挙がっているのが職務発明制度の見直しです。
日本では、現在、職務発明の対価は使用者と従業者間の「自主的な取決め」に委ねられています。その取決めによって対価を支払うことに合意が得られなければ、裁判所が「相当の対価」を算定しますが、この対価の水準をめぐってしばしば労使間の争いが起きています。
そこで、企業のグローバル活動を阻害しないような職務発明制度のあり方について、産業競争力に資する措置を講じるとしています。例示として次の案が挙がっています。
もともとは法人帰属のみの検討が提起されていましたが、アメリカで採用されている「契約に委ねる」方式を採用すべきという意見が作業部会で出たことから、両論併記されることになりました。
この案をもとに、今後策定されるビジョンを実現すべく、特許庁は特許法の改正に向けて細部を詰めていきます。