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知的財産政策ビジョン案で示された職務発明制度の見直し

政府の知的財産戦略本部が、知的財産をめぐる今後の取組みの方向性を示す「知的財産政策ビジョン」の策定作業を行なっています。このたびその案が明らかになりました。
●急激な変化への対応

平成14年に当時の小泉純一郎首相が「知的財産立国宣言」をして以降、知的財産基本法の施行や50本以上の関連法の改正などの取組みが行なわれてきました。その結果、これまでの10年で、知的財産分野において多くの進捗がみられたと分析しています。
ただし一方で、新興国の成長やビジネスのグローバル化、コンテンツメディアの多様化など、社会情勢は急激に変容しています。知的財産をその強みとして世界のリーダーシップを取っていくべきという立場から、今後の知的財産政策を再構成するというものです。

●4つの柱で展開

ビジョン案は今後10年を見据えた取組みとして、次の4点を柱に据えて展開していくとしています。

  1. 産業競争力強化のためのグローバル知財システムの構築
  2. 中小・ベンチャー企業の知財マネジメント強化支援
  3. デジタル・ネットワーク社会に対応した環境整備
  4. コンテンツを中心としたソフトパワーの強化

ここで1.の基盤整備として、挙がっているのが職務発明制度の見直しです。
日本では、現在、職務発明の対価は使用者と従業者間の「自主的な取決め」に委ねられています。その取決めによって対価を支払うことに合意が得られなければ、裁判所が「相当の対価」を算定しますが、この対価の水準をめぐってしばしば労使間の争いが起きています。
そこで、企業のグローバル活動を阻害しないような職務発明制度のあり方について、産業競争力に資する措置を講じるとしています。例示として次の案が挙がっています。

法人帰属(出願時から職務発明は使用者に帰属する)
使用者と従業者の契約に委ねる(帰属や対価について事前の契約で決める)

もともとは法人帰属のみの検討が提起されていましたが、アメリカで採用されている「契約に委ねる」方式を採用すべきという意見が作業部会で出たことから、両論併記されることになりました。
この案をもとに、今後策定されるビジョンを実現すべく、特許庁は特許法の改正に向けて細部を詰めていきます。

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