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「労働移動支援」に重点をおく雇用保険制度の見直し

田村憲久厚生労働大臣は産業競争力会議に提出した「成長のための労働政策」において、行き過ぎた雇用維持型から労働移動支援型への政策シフトを打ち出しています。その一環として、厚生労働省は雇用保険制度の見直しを進めており、雇用保険部会では制度見直しについての主な論点の案が下表のように示されました。

■雇用保険部会で示された主な論点案

・個別延長給付・雇止めによる離職者の給付日数の充実
・雇用保険二事業に要する費用の失業給付等の積立金からの借入れ
・労働移動・学び直しの支援措置
・基本手当の水準(給付率、給付日数)
・高年齢雇用継続給付
・教育訓練給付
・マルチジョブホルダーへの対応
・65歳以上の者への対応
・求職者支援制度
・財政運営
●失業手当の拡充措置の延長

非正規労働者に対するセーフティネット機能を強化するため、平成25年度末まで解雇、倒産、雇止めによる離職者について、失業保険の給付日数を延長するなどの暫定措置がとられていますが、この措置を延長するかどうかが検討されます。

●雇用保険二事業の運営

これまで雇用失業情勢の急激な悪化や東日本大震災への対応等のため、平成25年度末までの暫定措置として、雇用調整助成金の支出に用途を限定し、失業給付等の積立金からの借入れを行なってきました。財政の健全化等の観点から、この措置についても検討されます。

●労働移動・学び直しの支援

人材力強化の観点から、労働移動・学び直しの支援が検討されます。具体的には若年者等の学び直しに対する支援措置や、非正規労働者等のキャリアアップのための自発的な教育訓練(資格取得)に対する支援措置、従業員の学び直しプログラムの受講を支援する事業主への助成などが予定されています。

●基本手当の水準の見直し

基本手当の水準(給付率、給付日数)については、雇用のセーフティネットを拡充する観点から、雇用保険料率の引下げとあわせて給付面での充実を図るべきという意見があります。一方で雇用保険財政への影響等を考慮してそのあり方を慎重に考えるべきという声もあり、単純に拡充の方向というわけではないようです。このほか、マルチジョブホルダー(一定の期間内に2以上の就業場所で働く労働者)や、現在は失業給付の対象とならない65歳以上の者への対処、雇用保険を受給できない者に対する求職者支援制度のあり方についても検討されます。厚生労働省は年末までに議論をまとめ、平成26年の通常国会に改正雇用保険法案の提出をめざします。

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