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総務省が不服審査制度の見直し方針を公表

国民が行政処分に対して不服があるときには、行政不服審査法に基づき、その見直しを求めて不服を申し立てることができます。この手続きが「行政不服審査制度」です。
行政不服審査法は昭和38年に制定されて以来、実質的な法改正がなく、時代に即した見直しが必要とされてきました。
そこで総務省は、行政不服審査制度の見直し(案)についてパブリックコメントを募集し、その結果を踏まえた「見直し方針」を公表しました。その主な内容は次のとおりです。
●公正性の向上~点検の強化(審理の見える化)

不服申立てがあると、審査請求人と処分庁の主張を審査庁が審理し裁決を行ないます。現行法はその審理を行なう者についての規定がないため、審査庁の職員のなかでも処分に関与した者が審理を行なう可能性がありました。そこで、処分関係者等は審理員から除斥します。
また、審理手続終了後、原則として、有識者からなる第三者機関(国の場合は行政不服審査会)への諮問手続きによって裁決についての点検を行ない、公正性を向上させます。
審査請求人が希望しない場合等は諮問の対象外とするなど、迅速な裁決を希望する場合にも配慮します。

●使いやすさの向上~国民の利便性

制度の利便性を高めるため、不服申立てをすることができる期間を60日から「3か月」に延長します。また、処分庁への「異議申立て」のプロセスを廃止して、「審査請求」に一元化します。
なお、税など不服申立てが大量にあるものについては、例外的に簡易に見直しを求める手続き(再調査の請求、再審査請求)を処分庁に設けます。
不服申立前置(国税など個別法の規定によって不服審査の後でなければ出訴できないとするもの)は廃止・縮小されます。具体的には不服申立てが大量に行なわれるなどで、手続きを経ることによって裁判所の負担が大きく軽減されるようなケースに限定されます。

●国民の救済手段の充実・拡大~行政手続法の改正

不服申立て以外にも、次のような仕組みを法律上に位置づけます。
・国民が法令違反の事実を発見したときに是正のための処分等を求めること
・法律の要件に適合しない行政指導を受けたと思う場合に、中止等を求めること
総務省はこの見直し方針に沿って300本以上の関係法律を見直し、次期通常国会への法案提出をめざします。
法案成立後は国の行政機関、地方公共団体等で準備を進めるとともに、国民への周知を行ない、2年以内には新制度に移行する、というスケジュールを明らかにしています。
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