• ヘルプ
  • MYページ
  • カート

「一定以上の所得者は2割負担」が示された介護保険の見直し案

社会保障制度改革国民会議報告書は、介護保険制度改革について、「介護保険制度では利用者負担割合が所得水準に関係なく一律であるが、制度の持続可能性や公平性の視点から、一定以上の所得のある利用者負担は、引き上げるべきである」としています。
これを受け、厚生労働省は社会保障審議会介護保険部会で「費用負担の公平化について」という資料を示し、現在は一律1割となっている介護保険の自己負担割合について、一定以上の所得者は2割負担に引き上げる案を明らかにしました。
●医療保険とは異なる所得基準

一定以上の所得者の基準を考えるにあたっては、次の点を踏まえ、医療保険の現役並み所得者とは異なったものとすることが考えられるのではないか、としています。

・介護サービスは医療サービスよりサービスメニューが明確でケアプランを通じて選択可能な仕組みとなっていること ・医療サービスと比較すれば費用の額が予測可能で安定的であること ・医療保険の現役並み所得者の区分は3割負担の現役世代とのバランスを図る観点から設けられたのに対し、介護保険で検討する措置は同一世代内の公平性を確保するためのものであること

2割負担を課す具体的な所得基準としては、個人単位でみて、モデル年金や一般的な高齢者の消費支出の水準を上回る負担可能な水準として、次の2案が示されました。

・被保険者全体の上位約20%に相当する合計所得金額160万円以上 ・住民税課税者である被保険者のうち所得額が上位おおむね半分以上に該当する合計所得金額170万円以上
●補足給付の対象の絞込み

介護施設に入居する低所得者に対して食費・居住費を補助する「補足給付」は、現在、世帯の課税状況や本人の年金収入・所得のみ勘案されて給付されています。貯蓄等の資産があって本人や配偶者に負担能力がある場合にも給付されるのは公平性を欠くという観点から、資産も勘案して対象者を絞り込むことが提言されています。
たとえば本人と配偶者の貯蓄等の合計額が一定額を上回る場合は補足給付の対象外とする、というもので、預貯金等の場合の基準として単身1,000万円、夫婦2,000万円というラインが示されています。

●低所得者の負担は軽減

低所得の第1号被保険者(65歳以上の高齢者)に対しては保険料の軽減措置がとられていますが、現行の負担割合をさらに引き下げることも提言されています。その財源には消費税増税分が充てられます。
厚生労働省はこの改革案をもとに介護保険法の改正案をまとめ、2015年度からの実施をめざすとしています。

企業実務サポートクラブとは?詳しくは資料ダウンロード