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長期審理が見込まれるケースは裁判員裁判の対象外に

2009年に導入された裁判員制度の運用状況はおおむね順調であるとの評価がなされていますが、裁判員法には施行3年後に必要に応じて制度を見直すと規定されており、また、いくつかの問題点が浮かび上がってきました。
谷垣禎一法相は裁判員法の改正について、その要綱案を法制審議会に諮問しました。要綱案では法改正を要する事項として次の論点が挙げられています。
●審理がきわめて長期間に及ぶ事案

公判審理の期間がきわめて長期間に及ぶ事案について、裁判員の負担が過重なものとなる事態を避けるため、例外的に裁判官のみによる裁判を実施することができる制度を導入すべきとされています。
これまで最も長かったものでは、さいたま地裁で選任手続期日から終局(判決宣告)まで100日という裁判員裁判が行なわれています。無事に遂行はされましたが、審理期間があまりにも長期間になると、その負担に耐えられない国民も多くなると考えられます。
一方、被害者が多数に及ぶテロ事件などは審理に年単位の期間を要するケースも想定されます。そこで、そうした時間のかかる重大事件は裁判員裁判の対象から除外できるようにするというものです。

●災害時における候補者の呼出しと辞退理由のあり方

東日本大震災のような甚大な災害発生時に、被災した候補者に対して呼出状を送付しない取扱いを可能とする根拠規定を設けるべきとしています。
また、候補者に対して「非常事態のために出頭が困難」といった新たな辞退理由を設けるべきとしています。

●プライバシーへの配慮

裁判員等選任手続きにおける被害者の特定につながる事項について、プライバシーへの配慮義務を定めることが望ましいとしています。
裁判員の守秘義務の範囲の緩和等についても検討されていましたが、今回の改正では見送られる模様です。法制審議会の答申を受け、法務省は来年の通常国会への改正裁判員法案提出をめざします。

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