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上場企業への社外取締役設置義務づけは一旦見送りに

コーポレートガバナンスの強化が求められるなか、法制審議会会社法制部会は2012年8月に会社法の改正要綱案をまとめました。
政府は会社法改正案を2013年11月29日に閣議決定し、国会に提出しました。
自公連立政権への政権交代があったものの、その内容は、おおむね民主党政権のもとでまとまった要綱案の内容を踏襲したものになっています。
今回の改正で特に注目されるのは次の点です。
●社外取締役等の要件の厳格化

現行法では子会社の業務執行者等は社外取締役に選任することができません。
これに加えて親会社や兄弟会社の業務執行者、当該会社の業務執行者の近親者も社外取締役に選べないという要件の厳格化が行なわれます。

●監査等委員会設置会社制度の創設

監査役会設置会社、委員会設置会社と並ぶ新しい機関設計の形態として「監査等委員会設置会社」が創設されます。
監査等委員会設置会社には監査役は置かれず、監査等委員会(取締役3人以上、かつ過半数が社外取締役で構成)が、監査業務と経営監督業務を行なうことになります。
監査役と異なり、監査等委員会の委員には取締役会の議決権があります。そのため、監査役会設置会社よりも経営監督機能が強く働き、かつ、より迅速・機動的な企業経営が可能になると期待されています。

●多重代表訴訟制度の創設

親会社の株主が原告となり、子会社取締役等を被告として訴訟を起こし、責任を追及できる「多重代表訴訟制度」が新設されます。
子会社取締役が会社に重大な損害を与えたとき、現行法では親会社が代表訴訟を提起できるものの、その取締役を実質的に任命した立場であることなどから、責任追及が甘くなることが考えられます。そこで一定の要件のもと、親会社の株主に代表訴訟を提起できる権利を与えるというものです。
なお、今回の改正で焦点となっていた、上場企業への社外取締役の設置義務づけは見送られることになりました。
ただし、上場企業が社外取締役を置かない場合には、定時株主総会でその理由を説明することが義務づけられます。
あわせて、今後の社外取締役の設置状況等を踏まえ、2年後にその義務づけについて改めて検討することが、付則に盛り込まれます。

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