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労災減少等に向け労働安全衛生法の見直し手続き進む

政府は第12次労働災害防止計画で、平成29年までに労災による死亡者数と休業4日以上の死傷者数をともに(平成24年比)15%以上減少させる、という全体目標を掲げています。
その取組みの一環として、厚生労働省は労働安全衛生法の改正法案要綱をまとめ、労働政策審議会に諮問を行ないました。
この要綱では次のような改正方針が示されています。

●化学物質管理の強化

労働安全衛生法57条で表示義務が課されるなど、一定の危険性・有害性が確認されている化学物質を取り扱う事業者に対して、危険性・有害性などの調査(リスクアセスメント)を義務づけます。
その調査結果に基づいて、危険や健康障害の防止のために必要な措置を講じることも求められます。

●メンタルヘルス対策

労働者の心理的な負担の程度を把握するための医師・保健師による検査の実施が事業者に義務づけられます。
その検査結果を通知された労働者の申出があった場合、医師による面接指導を実施する必要もあります。
面接指導が行なわれたときは、事業者は医師の意見を聴いたうえで、必要に応じて就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少その他の就業上の措置を講じなければならないともされます。

●受動喫煙防止対策

受動喫煙防止対策が事業者の努力義務となります。
事業者は省令で定める全面禁煙・空間分煙その他の措置を講じなければなりません。
また、喫煙室の設置の促進等、その措置に対して、国による必要な援助が行なわれるともされています。

●労災を繰り返す企業への対応

重大な労働災害を繰り返す企業に対して、企業単位での改善計画を作成し、改善を図るべきことを厚生労働大臣が指示する仕組みを創設します。
指示に従わない企業に対しては、大臣の勧告、企業名の公表の措置がとられます。

●外国立地検査・検定機関を認める

ボイラー・クレーンなど特に危険性が高い機械を製造等する際には、厚生労働大臣による登録を受けた検査機関による製造時等検査、性能検査、個別検定等を受ける必要があります。
これまでは日本国内に立地する機関のみが検査・検定を実施する機関としての登録を受けられましたが、国外に立地する機関でも登録を受けることが可能になります。

●規制・届出の見直し

使用電力が300kW以上の製造業の建設物の新設等を行なう際、労働安全衛生法88条1項により、労働基準監督署への機械の配置図等の事前の計画提出が義務づけられています。
事業者の手間・コストを軽減するという観点からこの条項を廃止するなど、規制・届出の見直しがされます。
政府は外国人関係者からの意見聴取等も行なったうえで、労働安全衛生法改正法案の早期成立を目指します。

注目したい法改正の動向

都市ガス事業の自由化

経済産業省は総合資源エネルギー調査会に設けたガスシステム改革小委員会で、都市ガス事業の市場開放について審議しています。そこで家庭向けも含めたガス事業の料金規制を撤廃し、規模や地域にかかわらず自由な参入を可能とする方向性を大筋了承しました。今夏をめどに報告書をまとめ、平成27年にガス事業法を改正、早ければ翌年より自由化というスケジュールが挙がっています。

建設業の人手不足対策

東日本大震災からの復興、オリンピックの開催準備等で、建設業の人手不足が問題視されています。これを受け、政府は建設業での外国人労働者活用の緊急措置を検討する閣僚会議を開催し、対策の検討をしはじめました。技能実習制度を拡充し、現行制度では最長3年としている受入期間を延長する、同じ技能実習での再入国を認める、といった案が浮上しています。

休眠預金の公的活用

金融機関に預けられて10年以上も取引がない、いわゆる「休眠預金」を国の預金保険機構に移管して公的な事業に活用する制度の導入を可能にする法案の提出を、自民・公明の与党両党が検討しています。

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