個人情報保護法の成立から10年が過ぎ、個人情報=パーソナルデータの活用・保護をめぐる問題も変化しています。
内閣官房、総務省、経済産業省を事務局とする「パーソナルデータに関する検討会」は、2013年12月に「パーソナルデータの利活用に関する制度見直し指針」を決定し、個人情報保護のしくみについて見直しの3つの方向性を示しました。
●ビッグデータ時代におけるパーソナルデータ利活用に向けた見直し
個人データを加工して個人が特定される可能性を低減したデータに関し、個人情報とプライバシーの保護への影響ならびに本人同意原則に留意しつつ、
・第三者提供における本人の同意を要しない類型
・当該類型に属するパーソナルデータを取り扱う事業者が負うべき義務
等について、所要の法的措置を講じます。
また、パーソナルデータの取扱いの透明化等を検討します。
共同利用やオプトアウト(ユーザーの許可を得ず一方的に広告・宣伝メール等を送る手法)等の第三者提供の例外処置の明確化、利用目的拡大に当たって事業者が取るべき手続きの整備、わかりやすいポリシーの明示等がそのテーマとなります。
●プライバシー保護に対する個人の期待に応える見直し
・保護すべきパーソナルデータの範囲
・個人情報の開示・訂正等における本人関与のあり方
・取り扱う個人情報の規模が小さい事業者の取扱い
・プライバシー影響評価の導入
・データ取得時等における手続きの標準化
等について検討します。
ここで範囲の明確化として挙がっているのが、プライバシー性がきわめて高い「センシティブデータ」の新たな類型を設け、その特性に応じた取扱いを行なうことなどです。
また、独立した第三者機関(プライバシー・コミッショナー)の体制を整備して行政処分等の権限を付与し、あわせて罰則や法解釈・運用の事前相談のあり方等を検討します。
さらに、国、事業者、消費者、有識者等の関係者が参画してオープンなプロセスでルール策定等を行なう「マルチステークホルダープロセス」の考え方を活かした民間主導の枠組みを構築することで、ルール遵守のしくみを整備します。
●グローバル化に対応する見直し
諸外国の制度や国際社会の現状を踏まえた国際的に調和の取れた制度と、他国へのデータ移転の際の確実な保護対策、海外事業者に対する国内法の適用等について検討します。
その作業を進めるために、内閣官房内に「パーソナルデータ関連制度担当室」が発足しました。担当室が6月までに個人情報保護法の改正内容についての大綱を取りまとめ、その大綱をもとに、政府は2015年1月の通常国会への法案提出をめざします。
政府は「電力システムに関する改革方針」を踏まえて「電気事業法等の改正案」を閣議決定しました。そのなかで家庭向けを含めた電力小売事業への新規参入を2016年に全面自由化することを明らかにしています。
国民年金の保険料は納付期間が40年で原則として60歳で納め終わることになっていますが、厚生労働省は納付期間の延長について検討します。納付期間を段階的に65歳まで延長するなどした場合の年金財政への影響を試算し、年内に改正案をとりまとめる方針を示しています。
政府は中小企業向けの公的支援策として、地域経済活性化支援機構法の改正方針を打ち出しました。
資金繰りに窮した経営者から同機構が個人保証の付いた中小企業の債権を買い取り、一定の私財を残したうえでの私的整理の道をひらきます。経営者の個人財産没収の懸念をなくして再起業等にチャレンジしやすくするのが法改正の狙いです。
金融庁は保険販売時の説明義務を厳格化し、投資信託の販売時と同様のきめ細かい顧客対応を求めるなど、販売ルールを厳格化する保険業法の改正を予定しています。