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行政不服審査法改正に伴い労働保険審査制度が使いやすくなる

行政処分に対して不服があるとき、異義申立てを認める制度が行政不服審査制度です。
その一環である労働保険審査制度では、労災保険や雇用保険の給付処分(原処分)に不服があるとき、都道府県労働局の労働保険審査官に審査請求を行なうことができます。
さらに、その決定に納得がいかなければ厚生労働大臣が所轄する労働保険審査会に再審査請求を行なって裁決を受けることになります。それでも納得がいかなければ訴訟手続きに移行します。
行政不服審査制度は1962年の制定以来、実質的な改定がなかったため、公正性と制度の使いやすさの向上、国民の救済手段の充実・拡大の観点から見直し作業が進められています。
その考え方にならって、労働保険審査制度も見直されます。厚生労働省は労災保険法など関係法律の整備等に関する法律案要綱を労働政策審議会に諮問し、同審議会は妥当と答申しました。
●手続きの一元化
これまでは裁判所への出訴は再審査請求までの手続きを経なければできませんでした(不服申立ての二重前置)。
新制度では、審査請求を経た後、再審査請求を行なうか裁判所に出訴するかが選択できるようになります。
そのほか以下のような改正が行なわれます。
■労働保険審査制度の主な改正内容
不服申立ての二重前置の廃止 再審査請求を経なくても裁判所への出訴が可能に
審査請求期間の延長 60日から3か月に延長
標準審理期間の設定 決定までに通常要すべき標準的な期間を定めるよう努める
審査請求手続きの計画的進行の創設 請求人や審査官が相互に協力し計画的に審理を進行するよう努める
口頭意見陳述の充実化 利害関係者等を招集して行なう。申立人は処分庁に対して質問できる
特定審査請求手続きの計画的遂行の創設 必要に応じて審査請求人等を招集し、審査請求手続申立てに関する意見の聴取を行なう
審査請求人等による物件の閲覧 提出文書その他の物件の謄写を求めることができる
労働保険の保険料の徴収等に関する法律、石綿による健康被害の救済に関する法律にも同様の改正があり、審査請求手続きのハードルが下がります。
通常国会で審議されている改正行政不服審査法案の成立後、国の行政機関、地方公共団体等で準備を進めるとともに国民への周知を行ない、2年以内に新制度に移行というスケジュールが示されています。
注目したい法改正の動向

職務発明で得た特許の帰属を企業に

特許庁は産業構造審議会に職務発明制度の見直しについて審議するための特許制度小委員会を立ち上げました。「発明報奨規則」を策定して社員の発明に対する報酬基準を明示することを企業に義務付ける一方で、発明で得た特許は個人ではなく企業に帰属する制度に切り替える案が検討されています。

銀行預金口座とマイナンバーを紐付け

政府は銀行の預金口座に「マイナンバー」の登録を義務付ける方向で調整に入りました。2018年度を目標に、新規開設口座から義務付けを開始する方針です。

道路老朽化対策の強化

国土交通省は今年度から実施する道路の老朽化対策の本格実施に関する提言の骨子案をまとめました。国土交通省令を改正し、すべての橋梁とトンネル等に、統一的な基準に基づく近接目視による5年に1度の点検を義務付ける予定です。

ストレス検査実施義務を緩和

与党が調整を進めていた労働安全衛生法改正案について、厚生労働省が修正方針を提示しました。いわゆる「ストレス検査」の実施・受診の義務付けについて、従業員50人未満の事業者は検査実施を当分の間努力義務にとどめ、労働者の受診義務は削除されます。

財産評価基本通達の見直し

上場会社の新株予約権が金融商品取引所に上場された場合の新株予約権の評価方法を新設するなど、社会経済の実態等を踏まえた財産評価基本通達の改正が予定されています。

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