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着実に進む民法(債権関係)の見直し作業

政府は制定から100年以上が経過した民法について、社会・経済の変化への対応を図り、国民一般にわかりやすいものとするため、抜本的な見直し作業を進めています。
見直しの対象となっているものとして、国民の日常生活や経済活動にかかわりの深い「契約」に関する規定があります。
具体的には、民法第3編「債権」と、第1編「総則」の第5章(法律行為)、第6章(期間の計算)、第7章(時効)の規定を検討対象としています。


要綱の仮案がまとまる

法制審議会民法(債権関係)部会は、「論点整理」(平成21年11月~平成23年4月)、「中間試案に向けての審議」(平成23年7月~平成25年2月」、「改正要綱案の取りまとめに向けての審議」(平成25年7月~)という3つのステージを設けて審議を重ねてきました。
現在は第3ステージの段階に入っており、要綱案の仮案が決定しました。法務省は平成27年通常国会への改正法案提出を目指しており、その全体像が明らかになったといえます。


広範囲にわたる見直し

要綱仮案をまとめるにあたっては、下に掲げた39の検討事項について審議がされました。
 

■要綱仮案をまとめるにあたって検討された項目

  1. 公序良俗(民法90条関係)
  2. 意思能力
  3. 意思表示
  4. 代理
  5. 無効及び取消し
  6. 条件及び期限
  7. 消滅時効
  8. 債権の目的(法定利率を除く)
  9. 法定利率
  10. 履行請求権等
  11. 債務不履行による損害賠償
  12. 契約の解除
  13. 危険負担
  14. 受領遅滞
  15. 債権者代位権
  16. 詐害行為取消権
  17. 多数当事者
  18. 保証債務
  19. 債権譲渡
  20. 有価証券
  1. 債務引受
  2. 契約上の地位の移転
  3. 弁済
  4. 相殺
  5. 更改
  6. 契約に関する基本原則
  7. 契約の成立
  8. 定型約款
  9. 第三者のためにする契約
  10. 売買
  11. 贈与
  12. 消費貸借
  13. 賃貸借
  14. 使用貸借
  15. 請負
  16. 委任
  17. 雇用
  18. 寄託
  19. 組合

このうち約款に契約としての拘束力をもたせる根拠規定を設けるなどの案が挙がっていた「28定型約款」については項目全体を保留とし、引き続き検討することとされましたが、その他の項目はほぼ原案どおり要綱仮案に盛り込まれました。
消滅時効について短期消滅時効が廃止される、保証債務について融資を受ける際の個人保証が原則禁止となるなど、企業の活動に大きな影響を及ぼすことが見込まれるので、今後の審議に注意を払いましょう。

注目したい法改正の動向

女性活用の後押し

金融庁は「日本再興戦略」で示された女性のさらなる活用促進についての提言を踏まえ、積極的な女性役員登用の一助となるよう内閣府令を改正し、有価証券報告書等に役員の男女別人数と女性比率の記載を義務付ける予定です。

風営法の「本籍条項」を廃止

風俗営業者や深夜営業の飲食店など、風営法に関係するすべての営業者は、営業所ごとに従業者名簿を備えねばなりません。これまでその記載事項に本籍や国籍を求める、いわゆる「本籍条項」がありましたが、プライバシー配慮の観点から本籍条項を廃止する方針を警察庁が示しています。

土砂災害への対応強化

政府は大雨による土砂災害を契機に、土砂災害防止法を見直す方針を明らかにしています。都道府県が危険箇所を調査して警戒区域や特別警戒区域に指定する際、基礎調査を行なった時点で結果公表を義務付け、近隣住民の区域指定への理解を求め防災意識の向上を図ります。

「みなし仮設住宅」の活用

内閣府の被災者に対する国の支援のあり方に関する検討会は、災害救助法等を見直し、住宅を失った被災者に家賃分の現金を直接給付し、民間賃貸住宅を「みなし仮設住宅」として活用する方法を提言しています。

特色ある教育の実践への試み

文部科学省は地方公共団体が公立学校の運営を民間に委託し、民間のノウハウや人材を活かして特色ある教育を実践する「公設民営学校」の設置を特例として認める方向で、学校教育法等の見直し作業を始めました。

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