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「一億総活躍社会」の実現に向けた緊急対策とは

平成27年11月26日、内閣官房内に設置されている一億総活躍国民会議により「一億総活躍社会の実現に向けて緊急に実施すべき対策」が公表されました。

この対策では、税法、最低賃金法、雇用保険法など様々な法律の改正方針が打ち出されています。その主なポイントは、以下のとおりです。


(1)「強い経済」実現に向けた対策

・法人税率を早期に20%台に引き下げる

・最低賃金を年率3%をめどとして引き上げ、全国加重平均が1,000円となることを目指す

・いわゆる103万円、130万円の壁の原因となっている税・社会保険、配偶者手当のあり方に関し、公平性等を踏まえた方針を検討する

配偶者手当について厚生労働省は、「女性の活躍推進に向けた配偶者手当の在り方に関する検討会」を立ち上げ、その背景や課題を整理し、留意事項等を検討するとしています。


(2)出生率アップに向けた対策

・非正規雇用労働者が育児休業を取得し、継続就業しやすくするために制度を見直す

・マタハラ離職等の場合の失業手当を厚くする

現行では、マタニティハラスメントを受けたり育休などを取れなかったりして退職した場合には、自己都合扱いで基本手当(失業手当)が支給されますが、これを会社都合で辞めた場合と同じ水準(特定受給資格者)に引き上げることが検討されています。


(3)「介護離職ゼロ」を目指す対策

・現在は1つの症状につき1回ずつしか取得できない介護休業を、3回まで分割して取得できるよう制度を見直す

・現行では介護休業給付の給付水準は賃金の40%だが、これを67%に引き上げる

介護休業は、93日以内で1回しか休むことができず、介護休業の取得割合は実際に介護をしている雇用者の約3%にとどまっていました。そこで厚生労働省は、通算日数の93日は変えないものの、取得できる休みを最大3回まで分割できるようにする方針を固めました。
注目したい法改正の動向

TPPの大筋合意を受け、独禁法改正へ

公正取引委員会は、TPPの大筋合意を受け、競争法違反の疑いについて当局と企業が自主的に問題解決できる仕組みを導入する方向で独占禁止法の改正の検討に入りました。

サービス品質を評価する「おもてなし規格認証」の検討へ

目に見えない「サービス」は、正当な評価を行なうことがむずかしい側面があり、それがサービス産業の生産性の停滞につながったとの指摘がありました。経済産業省は、日本全体のサービス産業の底上げを目指し、質の高いサービスを適切に評価する仕組みのあり方を検討する「おもてなし規格認証(仮称)に関する検討会」を設置しました。平成28年2月をめどに、提言をとりまとめる予定です。

幼稚園や小学校の教諭を保育士として活用

保育所では、基本的に保育士資格をもつ者が子どもを保育できますが(特例的に保健師、看護師、准看護師も可)、保育所での人手不足を解消するため、幼稚園や小学校の教諭が保育士として働けるよう規制を緩和する方向で調整に入りました。平成27年度中に児童福祉施設の設備及び運営に関する基準の改正等を行ない、平成28年度からの適用を目指します。

高齢者の雇用保険拡充へ

現在、65歳以降に新たに雇用される者は雇用保険には加入できず、失業しても失業手当は支給されません。そこで、65歳以降でも雇用保険に加入可能とするための見直しが進められています。また、保険料も本来なら徴収すべきところですが(現在は64歳以降は免除)、激変緩和の観点から一定の免除期間を設けるとしています。雇用保険法の改正案は、平成28年の通常国会に提出される予定です。

「民泊」についてのルールづくりが始まる

「民泊」は、自宅の空き部屋などに観光客を宿泊させるもので、ホテル不足解消が期待されている一方、騒音などのトラブルも問題になっています。厚生労働省と観光庁は「『民泊サービス』のあり方に関する検討会」を立ち上げ、これまで旅館業法等の規制が曖昧だった民泊についてのルールづくりを進め、平成28年の夏?秋までに報告書を取りまとめる方針です。

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