信用保証付き融資を受けている不況業種の企業が破綻した場合、信用保証協会が100%肩代わりしています。経済産業省は、この保証割合を縮小する方向で検討に入りました。
中小企業の自主的努力を促す
経済産業省の「中小企業政策審議会金融ワーキンググループ」では、信用補完制度の見直しについて審議していますが、主な論点は次のとおりです。
- 中小企業が事業活動のなかで直面するそれぞれのリスクを踏まえて、信用補完制度により必要十分な信用供与を果たすこと
- 信用保証協会と金融機関のリスクシェアのあり方を見直すことにより、中小企業の経営向上に向けた自主的な努力を促すとともに、金融機関に対しても事業を評価した融資を行ないつつ適切な期中管理・経営支援を実施することを促すこと
- 右記の結果として、公的な予算等の政策資源のパフォーマンスを最大化するとともに信用補完制度の持続可能性を確保すること
新たな制度の創設と保証割合の見直し
特に、経済危機等への備えとセーフティネット保証による副作用の抑制策に関しては、次の2点が検討されています。
- 大規模な経済危機等に対応するための新たなセーフティネット保証の創設
大規模な経済危機等に際して、あらかじめ適用期限を区切って迅速に発動できるセーフティネット制度(別枠・100%保証)を整備します。
- セーフティネット保証5号(不況業種)の見直し
「100%保証」が活用され続けてしまうと金融機関の支援が実施されず、事業者においても経営改善に向けた経営努力が後退し、本来進められるべき構造的な改善等が進まないことが危惧されます。
そこで、金融機関の支援の下で経営改善や事業転換等が促されるよう保証割合等の必要な見直し(80%程度へ)を行なうとしています。
年内に論点を集約し、早ければ来年の通常国会で関連法の改正を目指します。
現在、加工食品の原料原産地を表示する義務がある対象品目は、生鮮食品に近い22食品群と4食品です。
消費者庁と農林水産省共催の「加工食品の原料原産地表示制度に関する検討会」では、このほど、「すべての加工食品について、重量割合上位1位の原材料の原産地を義務表示の対象とする」と結論づけた中間とりまとめを公表しました。
ただし、輸入先が頻繁に変わり、包装容器をそのたびに印刷し直すことがむずかしい場合は、複数国の表示を認めました。
その場合は、「A国またはB国」「輸入」「輸入または国産」などの表示でも問題ないとしています。
今後は最終案をとりまとめ、来年以降、食品表示基準を定めた内閣府令を改正する予定です。ただし、異論も多いことから紆余曲折が予想されます。
裁判によって解雇が無効となった場合でも、職場復帰せずに退職する労働者が一定数存在しています。
また、行政組織によるあっせんや労働審判制度、民事訴訟上の和解においては、解雇をめぐる個別労働関係紛争の多くが金銭で解決されているという実態があります。
これらを踏まえて、厚生労働省の「透明かつ公正な労働紛争解決システム等の在り方に関する検討会」では、解雇が無効となった際の金銭救済制度が議論されています。
金銭救済制度があることで解雇が助長される、現行制度でも実行可能との指摘もありますが、年度内に結論を出すとしています。
現行の介護保険制度では、保険者(協会けんぽや健康保険組合など)が負担する保険料は、その加入者(第2号被保険者)の人数に応じて支払う仕組みとなっています。
厚生労働省はこれを改め、保険者ごとに加入者の平均収入に応じて負担する「総報酬割」への移行を目指しています。
厚生労働省としては年末までに結論を出し、早期の改正案提出を目指します。