政府は、「世界で一番企業が活動しやすい国」とすることを目指して行政手続の簡素化を図る方針です。諸外国の取組み調査等を行ない、事業者目線で規制・行政手続コスト削減に係る手法や目標設定のあり方を検討したうえで、計画的な取組みを推進するとしています。
そこで次のような取組み手法が示されています。
重点分野の選定
事前に行なわれた事業者に対するアンケート調査によると、負担感が上位の行政手続は、
- 営業の許可・認可に係る手続
- 社会保険に関する手続
- 国税
- 地方税
- 補助金の手続
- 調査・統計に対する協力
- 従業員の納税に係る事務
- 従業員の労務管理に関する手続
- 商業登記等
- 従業員からの請求に基づく各種証明書類の発行
などです。この10分野で全回答の75%を占めており、これらを中心に検討される予定です。
コストの削減目標
削減目標は定性的なものではなく数値目標が必要とされており、削減対象は「事業者の作業時間」とすることが提案されています。数値目標としては、削減率を設定するとしています。
先行する欧米でのコスト削減目標は、英国、ドイツ、フランス、オランダ等では25%、カナダでは20%となっており、日本でも同様の数値を目指す方針です。
取組みの予定
- ことし6月末まで
各省庁で、行政手続コスト削減に係る暫定的な削減計画を策定します。
- ことし7月から2018年6月頃まで
暫定的な削減計画に基づき、各省庁は削減の取組みに着手します。並行して、各省庁の削減計画・取組みについて議論を行ないます。その議論を踏まえ、削減計画(本計画)を策定します。
- 2018年7月から
各省庁は本計画に基づき、削減の取組みを進めます。
社会保険関連の手続削減等が柱になるとみられ、事業者の負担軽減が期待されます。
注目したい法改正の動向
内閣府の「人工知能と人間社会に関する懇談会」では、人工知能(AI)を社会で利活用する際の課題についての報告書をとりまとめました。
倫理的、法的、経済的、社会的、教育的、研究開発的の6つの論点を整理し、AI普及に伴う雇用環境の変化や自己責任の所在、個人情報保護など様々な課題を幅広く網羅しています。
今後は、海外動向の調査などを踏まえつつ、具体的な法改正につなげる予定です。
厚生労働省の「視覚障害の認定基準に関する検討会」では、身体障害者手帳を交付する際の認定基準について議論されています。
視覚障害の等級は、身体障害者福祉法施行規則の別表で1~6級に分けられています。
現行では、左右の視力の合計値で判断されていますが、生活の不自由さを適切に反映していないとの意見が日本眼科学会等から出され、どちらかよいほうの目の視力を基準とする方向で検討するとしています。
また、片目を失明した場合、もう一方の視力にかかわらず障害認定すべきか、についても検討される予定です。
現在、保育所に入りたくても入れない待機児童について、育児休業中の取扱いが自治体ごとに異なるため、厚生労働省は定義の統一を図る方針です。
育児休業中の場合の取扱いについては、現行の待機児童数調査の調査要領上、「待機児童数に含めないことができる」と規定されていることもあり、待機児童数に含めていない市区町村も少なくありません。
また、保護者が求職活動中の場合については待機児童に含めますが、調査日時点で求職活動を休止していることが確認できる場合には、待機児童数には含めないことになっています。
しかし、調査日時点における求職活動の状況を逐次確認する市区町村と、改めて確認することはせず申込み時点での記載内容に基づいて判断している市区町村があるということです。
厚生労働省の「保育所等利用待機児童数調査に関する検討会」では、3月末までに一定の結論を出すとしています。