金融庁では、金融審議会において、情報技術の進展など金融を取り巻く環境変化を踏まえた金融制度のあり方について検討を始めました。
●現行法制の課題IT技術の進展等により、従来、金融機関が担ってきたサービスを金融機関以外の主体が個別の機能に分解して提供すること(アンバンドリング)や、顧客のニーズに即して金融サービスと非金融サービスを組み合わせて提供すること(リバンドリング)などの動きが進展・拡大しています。
しかし、現行法制については、次のような課題が挙げられています。
- 業態ごとに法令(業法)が存在し、機能・リスクが類似したサービスでも行為主体(業態)によってルールが異なる 現在の金融法制では銀行は銀行法、保険は保険法、電子マネーなら資金決済法などと業態別に縦割りになっていますが、この法体系のままでは業態をまたいだサービス提供の障害となりかねないとされています。
- 各業法に、環境の変化に対応していない規制が存在する可能性がある ITを活用した合理化やITに対抗した合理化などが、固有の規制によって円滑に実現できない可能性があります。
●検討の方向性以上の課題等について、検討の方向性は以下のとおりです。
- 同一の機能・リスクには同一のルールを適用 たとえば、金融の機能を「決済」「資金供与」「資産運用」「リスク移転」などに分類し、機能・リスクに応じたルールの適用を検討します。
- 規制を横断的に見直し 環境の変化に対応すべく、金融規制を横断的に見直します。
このほか、通貨のデジタル化が金融システムや金融サービスまた金融機関のあり方も一変させる可能性があり、審議会でも検討する予定です。
金融法制の再編については、既存の法律を改正するのか新たな法律を制定するのかなど、具体的な方法については、今後詰めるとしています。
注目したい法改正の動向
特恵関税制度は、先進国が開発途上国の産品に対して一般の税率より低い関税率(特恵税率)を適用する制度ですが、近年、この制度を悪用して、特恵関税制度適用国を介した迂回輸入品が増えています。
しかし、現行の関税法では具体的な確認手続きについての規定が存在しないことにより、適切な確認が困難なケースもあります。
そこで財務省では、特恵関税制度の適正な利用を確保するため、確認規定を整備する方針です。平成30年の通常国会に、関連法の改正案を提出するとしています。
児童手当は現在、0~2歳は子ども1人当り月1万5000円、3歳から中学生までは同1万円、一定の所得制限を超える人には同5000円の特例給付を支給しています(子どもの人数によって変動します)。
特例給付については、父母がともに所得がある場合、生計を維持する程度が高いほう(通常は所得が高いほう)のみの所得が問われます。
政府・与党ではこれを、世帯合算した金額へと見直す方向で調整しています。
ただし、子育て世代の負担増につながるとして反対意見も多く、紆余曲折が予想されます。
財務省は、学校法人森友学園への国有地売却に関する会計検査院の報告書公表を受け、国有財産の処分手続きを見直す方針を決めました。ポイントは、以下のとおりです。
・国有財産の管理処分について手続きの明確化を図る
・すべての随意契約で売却価格を公開する
・例外は極力つくらない。仮に例外がある場合でも限定的なものとして、その基準を明確に定める
・売却価格の客観性を確保して例外的事案は第三者による算定・確認を行なう
・取引の経緯を検証できるよう行政文書のより適切な管理により、説明責任を確保する
これらの見直しの具体的な内容については、税制制度等審議会の国有財産分科会で検討を行なうとしています。