●パワハラ案件が増加中
厚生労働省の統計によると、都道府県労働局に寄せられる職場の「いじめ・嫌がらせ」に関する相談は増加傾向にあり、平成29年度の民事上の個別労働紛争の相談内容別件数では7万2,067件(前年度比1.6%増)で6年連続トップとなりました。
また、これに連動して、嫌がらせ、いじめ、暴行を受けたことによる精神障害の労災認定件数も増加傾向にあります。
そこで厚生労働省は、パワーハラスメント(パワハラ)の防止に向けて、法律上の整備を進める検討に入りました。
●検討されている対応案
現在、職場のパワハラ防止について、対応案として挙がっているのは、次のとおりです。
- 行為者の刑事責任、民事責任を問う(パワハラが違法であることを法律上明確化し、行為者に対して刑事罰による制裁や、被害者による加害者に対する損害賠償請求の対象とする)
- 事業主に対する損害賠償請求の根拠を規定する(事業主は職場のパワハラを防止するよう配慮する旨を法律に規定し、その不作為が民事訴訟、労働審判の対象になることを明確化する)
- 事業主に対する措置義務を規定する(事業主に対し、職場のパワハラ防止等のための雇用管理上の措置を義務付け、違反があった場合、行政機関による指導等について法律に規定する)
- 事業主による一定の対応措置をガイドラインで明示する(事業主に対し、職場のパワハラ防止等のための雇用管理上の一定の対応を講ずることをガイドラインにより働きかける)
- 社会機運の醸成(職場のパワハラは、労働者のメンタルヘルス不調や人命にも関わる重大な問題であること、経営的にも大きな損失であることについて事業主にも理解してもらい、社会全体の機運の醸成を図る)
このうち、3の対応策を中心に検討を進めることが望ましいとの意見が多くみられ、メリット・デメリット等を勘案しながら議論を深めていく予定です。
●来年の法改正を目指す
厚生労働省では、ことし中に具体案をまとめ、来年の国会へ関連法案の提出を目指します。
注目したい法改正の動向
総務省はこのほど、手紙やはがきなどの郵便物の配達を現在の週6日から週5日に減らし、土曜日の配送を取りやめる検討に入りました。
現行の郵便法では、「月曜日から土曜日までの6日間において、1日に1回以上郵便物の配達を行うこと」と定められており、土曜日には全国で14万6,000人の(日本郵便)社員が出勤している状況です。
一方で、郵便物数の減少、現下の人手不足や働き方改革への対応等から、土曜日の配達を取りやめる方向で調整するとしています。
郵便物の土曜配達の取りやめが実現すれば、社員を増加傾向にあるゆうパックの配達に振り向けられる、とのことです。
総務省では、早ければ来年の法改正を目指します。
総務省は、モバイル市場における事業者間の公正競争を促進し、多様なサービスが低廉な料金で利用できる環境を整備するための検討に入りました。
海外の携帯料金などを調査のうえ報告書をとりまとめ、来年末までに携帯電話市場の競争促進などについての新たなルールを制定するとしています。
厚生労働省は、裁量労働制について対象業務を拡大する検討を始めました。
裁量労働制の拡大は、働き方改革関連法の審議途中で統計の不備などにより取り下げを余儀なくされました。ただし、仕事の進め方を個人に委ねられるなど柔軟な働き方が可能となることから、経済界などからの期待は高まっています。
2020年の国会に労働基準法の改正案を提出することを目指します。