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70歳までの雇用を努力義務化へ

政府はこのほど、未来投資会議に改正高年齢者雇用安定法の骨子を提示しました。
以下、その概要を紹介します。


(1)70歳までの就業確保措置
人生100年時代を迎え、働く意欲がある高齢者がその能力を十分に発揮できるよう、高齢者の活躍の場を整備することが必要です。
高齢者の雇用・就業機会を確保するためには70歳までの就業機会の確保を図りつつ、65歳までと異なり、それぞれの高齢者の特性に応じた活躍のため、とり得る選択肢を広げる必要があります。
このため、70歳までの就業機会の確保については多様な選択肢を提供し、どの選択肢を選ぶかは労使で話し合う仕組みや、企業等と相談しながら自ら選択する仕組みを検討する必要があります。


(2)具体的な制度とは
制度上許容する選択肢のイメージは、次の7点です。
  1. 定年廃止
  2. 70歳までの定年延長
  3. 継続雇用制度の導入(子会社・関連会社での継続雇用を含む)
  4. 他の企業(子会社・関連会社以外の企業)への再就職
  5. 個人とのフリーランス契約への資金提供
  6. 個人の起業支援
  7. 個人の社会貢献活動参加への資金提供
(3)義務化の流れ
70歳までの就業機会の確保を円滑に進めるためには、2段階に分けて義務化を進めるとしています。
第1段階としては、上記の1~7の選択肢を示して、企業の努力規定とします。
第2段階としては、就業確保の実態の進捗を踏まえて、義務化(違反すれば企業名公表)のための法改正を検討します。
一方、65歳までの現行法制度については、混乱が生じないよう改正を行なわない予定です。
また、70歳までの就業機会の確保に伴い、年金支給開始年齢の引上げは行ないません。他方、年金受給開始年齢を自分で選択できる範囲(現在は70歳まで選択可能)を拡大する予定です。

手続きとしては、労働政策審議会での審議を経て、来年の通常国会において第1段階の法案提出を目指すとしています。

注目したい法改正の動向

IT大手に対して情報開示を義務付けへ

自民党は、経済成長戦略の一環として、AmazonやFacebookなどのプラットフォーマーと呼ばれるIT大手企業から、消費者や中小企業を保護するための法律を制定するよう政府に提言しました。
「デジタル・プラットフォーマー取引透明化法案」と名付けられたこの法案は、取引先の事業者へ適切に情報を開示することを義務付けるものです。独占禁止法の運用を補完しつつ、公正で透明な市場の実現を目指します。

ジョブ型正社員の雇用ルールを明確化

職務、勤務地、労働時間のいずれかの要素が限定される社員を「ジョブ型正社員」といいます。
多くの企業で導入が進んでいますが、現状では労働契約の内容については、「できる限り」書面による確認をすることとされているにすぎないため、勤務地等の限定が労働契約や就業規則で明示的に定められていません。
そこで政府は、職務や勤務地等の明示を企業に義務付けるよう、労働契約法の改正を目指します。

確定給付企業年金の年金バイアウト制度を検討

年金バイアウトとは、確定給付企業年金の実施者が年金資産と負債を生命保険会社などの他者に移転し、その後の給付を他者が引き継ぐことです。
イギリスやアメリカでは、確定給付型年金のリスクやコストの増大から確定拠出型年金への移行が顕著ですが、その際、「年金バイアウト」の手法を活用する取組みが進んでいます。
今後、確定給付企業年金法の改正を含めて、議論される予定です。
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