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厚生年金の短時間労働者への適用拡大へ

政府は、現在従業員501人以上となっている厚生年金の適用対象企業の要件を拡大する方向で検討しています。ただし、中小企業への影響が大きいことから、紆余曲折が予想されます。


(1) 検討の方向性とは
現行の制度では、パートタイマーなど短時間労働者については、従業員501人以上の企業で週20時間以上働き、月収8万8000円以上、勤務期間が1年以上などの条件を満たすと強制加入となります。 検討の方向性としては、以下のようなものが挙げられます。

①企業規模要件
被用者にふさわしい保障の確保や経済活動への中立性の維持、法律上経過措置としての規程となっていることなどの観点から、本来的な制度のあり方としては撤廃すべきものであるとの位置付けで対象を拡大していく。

②労働時間要件
被用者にふさわしい保障を確保する趣旨を踏まえつつ、他の論点との優先順位や短時間労働者の就業に与える影響等も慎重に考慮するべき。

③賃金要件
就業調整の要因となるなど課題もあるが、国民年金第1号被保険者とのバランスや、短時間労働者の就業に与える影響、賃金要件と最低賃金の水準との関係を踏まえて、制度の見直しの緊要性の程度も念頭に置いて検討すべき。

④勤務期間要件
勤務期間要件については、事業主負担が過重にならないようにするほか、実務上の取扱いの現状を踏まえて、要件を見直すべき。

(2) 事業主の負担増について
政府は、規模要件を緩和した場合の影響を試算しています。

・従業員数101人以上
→事業主負担は1130億円増加

・従業員数51人以上
→事業主負担は1590億円増加

・要件撤廃
→事業主負担は3160億円増加

政府としては「51人以上」を軸に調整を進めたい方針ですが、中小企業としては多くの負担増が発生することから、2022年10月に「101人以上」にしたうえで、2024年10月から「51人以上」にする案も浮上しています。


(3) 法改正へのスケジュール
政府としては、早期に意見をとりまとめ、来年の通常国会での改正案提出を目指します。

注目したい法改正の動向

スマホの不正決済時のルール整備

金融庁は、スマートフォンを使った送金・決済サービスで、無権限取引(利用者の意思に基づかない資金移動サービスの利用)が行なわれた際のルールを検討しています。
大手コンビニチェーンのスマホ決済サービスでトラブルが発生して以降、損害を補償する規約を設けた事業者が増えましたが、利用者保護の観点から、統一的かつ網羅的なルールを整備するべきとしています。

クッキー情報の第三者提供、本人の同意を義務付け

クッキーは、個人がいつ、どのサイトを閲覧したかを記録したデータで、個人の趣味や嗜好が類推できることから、個人の分析に重要な役割を果たします。
現状では、クッキーは個人情報とはみなされず、本人に無断で他社と共有し、利用することが可能です。
そこで、政府の個人情報委員会は、クッキーを他社へ提供する際は、本人の同意を得ることを義務付けるルールを決めました。
新たなルールは、クッキーを個人情報として取り扱い、他社へクッキーを提供する際に適用されることになります。
個人情報保護法の改正案に盛り込み、2020年の通常国会に提出する方針です。

電子書類の認定制度を創設へ

総務省は、企業間でやりとりする請求書などの電子書類に改ざんがないことを証明する民間サービスを公的に認定する制度を創設します。
認定制度の対象となるのは、電子文書の作成時刻を証明するタイムスタンプや法人が作成した電子文書が改ざんされていないことを保証する「eシール」など。
2020年に認定基準をつくり、告示などで定める方針です。
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