
2013年の改正労働契約法の施行で、有期労働契約が5年を超えて更新された場合は、有期契約労働者が希望すれば期間の定めのない労働契約に転換される、いわゆる「無期転換ルール」が導入されました。その際、施行後8年を経過したとき、改正で導入された無期転換ルールについて状況を勘案しつつ検討を加え、必要があると認める際は、その結果に基づいて適切な措置を講ずるとの附則が設けられていました。
また、勤務地限定正社員や職種限定正社員等の「多様な正社員」は、無期転換ルールによって有期雇用から無期雇用となった社員の重要な受け皿の1つとして期待されているところ、2019年6月に閣議決定された規制改革実施計画において、2020年度中に多様な正社員の雇用ルールの明確化について検討を行なうこととされていました。
そこで厚生労働省は、多様化する労働契約のルールに関する検討会を設置し、雇用の多様化に対応するルール整備についての議論を行なっています。
●示された論点
第1回の検討会では、「検討会で議論していただく論点(案)」として、次の項目が示されました。
1 無期転換ルール関係
①無期転換を希望する労働者の転換申込機会の確保
②無期転換前の雇止め
③通算契約期間およびクーリング期間
④無期転換後の労働条件
⑤有期雇用特別措置法の活用状況
⑥その他
2 多様な正社員関係
①雇用ルールの明確化
②その他
3 その他
必要に応じ、適宜論点を追加
●スケジュール
その後、第2回、第3回の検討会が開催され、企業および労働組合からのヒアリングが行なわれました。秋以降を目処に報告書がとりまとめられる予定です。
注目したい法改正の動向
自民党の経済成長戦略本部は、成長戦略の策定における課題を整理し、「経済政策の基本的考え方及び成長戦略についての提言」としてまとめました。
具体的な論点として、人への投資強化の一環としてフリーランス保護についての法制面の措置、私的整理による事業再生を円滑化するために利便性の拡大に向けた法制面の検討、大学改革に向けた新たな法的枠組みを早急に検討し、次期通常国会への提出を目指す等が挙げられています。
厚生労働省の子どもの権利擁護に関するワーキングチームが提言をとりまとめました。
そのなかで、児童相談所が一時保護等をする際に、子どもの年齢等に合わせた適切な方法により、あらかじめ子どもの意見を聴取することを児童福祉法で義務化すべきとしています。
刑事手続きで被害者の氏名等が被疑者・被告人に知られて被害を受けるおそれがあることから、上川陽子法務大臣は被告人に対し、起訴状謄本に代えて被害者の氏名等の記載のない起訴状抄本の送達を可能にすることなどを内容とする刑事訴訟法の整備について法制審議会に諮問すると述べました。
地方議員のなり手不足が問題となっているなか、自民党は対策として、自治体との取引がある個人事業主が地方議員になることを禁じる兼業規制を緩和するなど地方自治法の改正を検討しています。
大麻等の薬物対策のあり方検討会が示したとりまとめ案では、大麻由来成分を利用した医薬品の使用を認める一方で、他の薬物法規と同様の「大麻使用罪」を導入するという大麻取締法の改正の方向が示されています。
公職選挙法違反で有罪となり、当選が無効となった後も歳費を返還しない国会議員の事案を踏まえ、自民党は歳費法の改正について検討するプロジェクトチームの設置を表明しました。