
職業安定法で位置づけられている職業紹介事業・募集情報等提供事業以外にも、求人情報のまとめサイトやSNSを使った交流サイト、利用者データベースなど、多様な雇用仲介サービスが展開されています。
そうした動きを受け、「労働市場における雇用仲介の在り方に関する研究会」は議論を重ね、このたび報告書を公表しました。
報告書では、雇用仲介サービスを労働市場における需給調整機能の一翼を担うものとして位置づけるに当たって、仕事を探す者や企業等が安心して利用できるようにするとともに、利用者の安心とイノベーションを両立させる観点から、法的位置づけも明確にしていくべきであるとしています。
●示された検討課題
その際、次の点を考慮し、その対象を検討することが適当であるとしています。
・雇用仲介サービスを行なう者は、労働市場に流通する募集情報、仕事を探す者の情報等について、正確な情報を労働市場に流通させるべきであること
・雇用仲介サービスの発展のスピードが速いことを踏まえ、実態を広く把握し、仕事を探す者等の保護を図る必要があること
・仕事を探す者の情報を取り扱う場合には、仕事を探す者本人が労働市場には流通させたくない情報も含まれ得ることから、より慎重な対応が求められること
・雇用仲介サービスからの情報提供と職業紹介におけるあっせんとの違いについて、既存の区分基準・判例等と現状の雇用仲介サービスの実態との関係を整理し、職業紹介に該当するサービスを明確にすることが事業活動における予見可能性を高めること
●事業者・利用者双方の納得を
また、多様なサービスが登場しているなかで、募集情報や仕事を探す者の情報を取り扱うことが常態となっているような場の提供等、これらの情報の流通を促進しているものについては、サービスの類型にかかわらず、雇用を仲介する機能をもつものとして整理を行なっていくことが適当であるとしています。
雇用仲介サービスの法的位置づけ、サービスの態様等については、利用者にとっても明確なものとし、自分がどのようなサービスを受けることとなるのか、納得して利用できるようにすることが適当であるともしています。
厚生労働省はこの報告書を受け、労働政策審議会での審議を経て、来年の通常国会での改正職業安定法案提出を目指します。
注目したい法改正の動向
公文書管理委員会の作業部会がデジタル時代の公文書管理についてのルールの見直しを進めています。
デジタルワーキング・グループの報告では、行政文書の保存期間を現行の30年から20年に短縮し、国公立公文書館等に早期に移管できるよう、公文書管理法の見直しを視野に入れて検討するとしています。
国土交通省の社会資本整備審議会国土幹線道路部会が公表した中間答申案で、今後の高速道路料金のあり方についての方向性を示しています。利用者負担を原則としつつ、将来無料になると説明されてきた料金徴収の継続検討等が示され、道路整備特別措置法等関連法の改正について今後議論されます。
知的財産戦略本部が決定した「知的財産推進計画2021」では、大量・多種多様なコンテンツに関する一元的な権利処理制度について、拡大集中許諾制度等をもとに検討し、年内に結論を出し、来年度に措置を講じるとしています。そのための著作権法等の改正が予想されます。
原発の新増設がむずかしくなっているなか、政府は既存原発の長期活用のため原子炉等規制法を改正し、「原則40年間、最長60年間」となっている法定期間の延長を検討していることが明らかになりました。