
2017年に改正され、翌年施行された改正旅館業法では、附則において施行後3年を目途として施行状況を検討するとされていました。
また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大等を踏まえ、「旅館業法の見直しに係る検討会」が設けられました。
その第1回の開催にあたって、基本的な視点と想定される主な課題の案が示されています。
●基本的な視点
基本的な視点として、次の3点が示されています。
・前回の旅館業法改正では、違法な民泊サービスの広がり等を踏まえて、無許可営業者に対する取締強化等を行なったところ、改正後の施行状況について検証する
・昨年来、旅館・ホテル業の新型コロナウイルス感染症への対応において顕在化してきた法制面の課題等について検討する
・その他、現代の旅館・ホテル等をとりまく状況を踏まえ、見直すべき事項がないか検討する
●想定される主な課題
次の課題が示されています。
・2017年改正の施行状況等に対する評価と、それを踏まえた必要な対応
・新型コロナウイルス感染症への対応を踏まえた検討課題(5条、6条等)
・事業承継手続きの整備
・その他
●検討に際して留意すべき点
次の留意点が示されています。
・新型コロナウイルス感染症の感染状況・対応状況
・規制の内容や方法に対応した、自治体側の体制
・その他
●改正の方向性
現行の旅館業法5条では、感染症に関して、伝染性の疾病にかかっていると明らかに認められる場合以外は事業者は宿泊を拒否できません。これに対して、緊急事態宣言下では弾力的な運用ができるよう自治体からの要望が出ていました。
一方、厚生労働大臣は、旅館側に厳しい法律になっており丁寧な検討を要するという考えを示しています。
また、同法6条では、宿泊者名簿に記載が義務づけられている「職業」は実質的な意味がなく削除しても差し支えないのではないか、身分証を提示させ本人確認の徹底を図るべきといった意見が出ています。
今後、関係者へのヒアリングを進め、今後の進め方を含む議論を行なっていく予定です。
注目したい法改正の動向
厚生労働省の「建築物衛生管理に関する検討会」が報告書をまとめました。
一定の規模以上の店舗等に設置が義務づけられている建築物環境衛生管理技術者の兼任要件の緩和、建築物環境衛生管理基準の見直しが提言されており、この報告書をもとに政省令の改正等が行なわれます。
金融庁は民間のイノベーションを促進しつつ利用者保護などを適切に保護するために、送金手段や証券商品などのあり方を検討する「デジタル・分散型金融への対応のあり方等に関する研究会」を立ち上げました。
検討にあたって暗号資産等の私法上の権利義務関係も課題として示されています。
デジタル経済下における国際課税研究会の中間報告書では、デジタル市場のグローバル企業の租税回避策に対応すべく、OECD/G20等での国際合意の国内法化等についての方向性が打ち出されています。
与党歳費法に関する検討プロジェクトチームは、公職選挙法違反の罪で当選無効となった国会議員の歳費返納を義務づける法改正に向けた骨子案をまとめ、合意しました。
骨子案では、国会議員が選挙犯罪で当選無効となった場合、歳費を保障する憲法の規定を踏まえ、歳費と文書通信交通滞在費の4割、期末手当の全額を国庫に返納させることとしています。