
労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会がこれからの雇用保険制度についての議論を進めています。
●示されている論点
9月8日の会議で資料として示された「雇用保険部会の主な論点(案)」では、今後の議論に際しての主な論点として、
・財政運営(保険料率、国庫負担等)
・給付の暫定措置等の在り方
・新型コロナウイルス感染症への対応
・その他(基本手当、求職者支援制度その他各種給付の在り方)
という案が示されています。
いちばんの問題は財政運営です。新型コロナウイルス感染症の感染拡大下における特例措置によって、雇用調整助成金のみでも2020年度だけで2兆9,411億円を支出しており、支援のための支出はリーマンショック期よりもはるかに高い水準で推移しています。
●負担の抑制も限界に
いっときは積立金が6兆円を超えるなど、財源に余裕があったことから、失業給付等に対する国庫負担率は暫定的に引き下げられ、失業等給付に係る雇用保険料率についても低い水準に抑えられてきました。
しかし、新型コロナの影響でその状況は一変しました。
2020年度から2021年度にかけては、休業手当を受けることができない労働者に関する新たな給付制度を設けるなどの支援策を拡充するとともに、「雇用保険制度の安定的な財政運営を確保する」という理由から、臨時特例法によって、新型コロナ対応休業支援金、雇用調整助成金に要する費用の一部を一般会計から繰り入れる等の措置を講じていたりもしています。
国庫負担について2007年度から続く暫定措置を廃止して速やかに本則に戻したいという動きは以前からありましたが、新型コロナ対応による昨今の財源不足は深刻です。
たとえば、失業等給付関係の収支状況(前年度決算を反映した後の予算)をみると、2021年度の収入から支出を差し引くと1兆3,486億円のマイナスです。
そのような状況下で、今年度中に関係法令が改正され、来年度からの保険料率の引上げが行なわれる可能性は高そうです。
注目したい法改正の動向
インターネット上の誹謗中傷が社会問題化していることを契機として、侮辱罪が厳正に対処すべき犯罪であることを示し、抑止することが必要だと、上川陽子前法務大臣は在任時に表明しています。
そこで「拘留又は科料」とされている法定刑を、「1年以下の懲役若しくは禁錮若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」に引き上げることについて、刑事法(侮辱罪の法定刑関係)部会を新設して審議することになりました。
情報通信分野における外資規制の在り方に関する検討会事務局が、主要論点の整理(案)をまとめました。
放送法の外資規制の趣旨を損なわないようにしつつ、出資規制や外国人役員就任規制を見直す必要があるとし、コミュニティ放送に係る規制の緩和、人工衛星に関する無線局の外資規制について撤廃も視野に入れて検討など、総じて緩和の方向の提言がなされています。
投資家の投資判断と建設的な対話に資する企業情報開示のありかたを検討する金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループでは、議論すべき論点の1つとして「サステナビリティ(気候変動対応、人的資本への投資、多様性の確保等)」を掲げています。
ワーキング・グループの議論をもとに関係政令の改正も検討される見込みです。
国土交通省は、カーボンニュートラルの実現に向けて様々な施策を進めています。
公表された「脱炭素社会に向けた住宅・建築物における省エネ対策等のあり方・進め方」では、建築物省エネ法の基準の引上げなど、これからの規制強化の方向性が示されています。