
労働政策審議会労働政策基本部会が「~変化する時代の多様な働き方に向けて~」と題した報告書をまとめました。
この報告書では、今後の労働政策について、次のような課題と方向性が示されています。
●労働政策において今後検討すべき対応
・多様な人材が能力を発揮できるよう、女性や高齢者などの働き方に中立的な税制・社会保障制度を構築する
・雇用によらない働き方など様々な働き方の人を、どのように重層的なセーフティネットに組み入れていくか
・自発的に労働移動を行なう労働者の転職の参考となるよう、
①労働市場の見える化(職場情報・職業情報)
②異業種間でも業務の親和性がある仕事の事例収集および事例紹介等の積極的な周知広報
③ハローワークサービスのデジタル化による、オンラインサービスやキャリアコンサルティング機能の充実
などの転職しやすい環境の整備(労働市場の基盤整備)を進める
・いまは労働政策の大きな転換期にあり、従来の「安全・安心」を重視する対応に加え、「労働市場のセーフティネットを整備しつつ、労働者のスキルアップ・向上を目指す」ことを重視する
●社会全体に求められる対応(1人ひとりが自律的にキャリアについて考える)
・1人ひとりの労働者が自律的にキャリアについて考える方策を、社会全体で危機感を持って検討する
・リスキリングについて、労働者1人ひとりが力強く成長できるよう、個人への直接支援とともに社会全体で進めていく視点を持つ
本報告書は、以上の内容をふまえて、労働政策審議会の関係分科会や部会等においても、速やかに必要な施策が検討されることを求めたい、と結んでいます。
今後、こうした視点からの労働法制や税制等の見直しの動きが予想されます。
注目したい法改正の動向
自民党はデジタル技術の進展等をふまえた火山対策のいっそうの強化、観測や調査研究を一元的に行なう新たな機関の設置などを盛り込んだ「活動火山対策特別措置法」の改正案について了承しました。
教員の不足が問題となるなか、自民党の「令和の教育人材確保に関する特命委員会」が、「学校の働き方改革」「高度専門職である教師の処遇改善」「学校の指導・運営体制の充実」「志ある優れた人材が教師を目指すための支援」の4つを柱とする提言案をまとめました。
時間外労働手当の代わりに支給する教職調整額を月額給与の4%から10%以上に増やす教職員給与特別措置法の改正等が提言されています。
犯罪、非行からの更生を支える保護司のなり手不足が問題になっています。そこで法務省は「持続可能な保護司制度の確立に向けた検討会」を立ち上げました。
公募制の導入、委嘱時・再任時上限年齢の見直しなどが課題事項として挙げられています。
厚生労働省の雇用保険制度研究会が雇用保険制度見直しについての中間整理案を公表しました。
週所定労働時間20時間未満の短時間労働者を雇用保険の適用対象とすることなどが議論されています。
食料・農業・農村基本法の見直しに向けた中間とりまとめが行なわれました。今後20年の変化を見据え、食料安全保障の確立、環境等に配慮した持続可能な農業・食品産業への転換などを基本理念に、主要施策等の見直しが図られます。
すぐれた建築物が、老朽化や耐震性の問題などにより取り壊されることが増えています。文化庁の建築文化に関する検討会議の報告書案では、建築文化振興立法の検討が提言されています。