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職場における熱中症対策を事業者に義務付け

令和7年4月30日までに発表・公布された主な法令・通達についてわかりやすく解説します。

令和7.4.15 厚生労働省令第57号=労働安全衛生規則の一部を改正する省令

職場での熱中症による死亡災害が3年連続で30人レベルと多発するなか、気候変動などにより熱中症のさらなる増加が懸念されています。
死亡に至るケースのほとんどが初期症状の放置、対応の遅れであることから、労働安全衛生規則の衛生基準の対象に「熱中症を生ずるおそれのある作業」が規定され、熱中症による健康障害の疑いがある者の早期発見や重篤化防止のための措置を講じることが事業者に義務付けられました。
熱中症を生ずるおそれのある作業とは
今回の措置の対象となる「熱中症を生ずるおそれのある作業」とは、具体的には「WBGT(湿球黒球温度)28度または気温31度以上の作業場において行なわれる作業で、継続して1時間以上または1日当たり4時間を超えて行なわれることが見込まれるもの」とされています。
ただし、作業環境や着衣の状況等によっては、この要件に該当しない場合であっても熱中症のリスクが高まるため、該当する場合に準じた対応が推奨されています。
「体制整備」「手順作成」「関係者への周知」を義務付け
熱中症の重篤化を防ぐための対応の基本的な考え方は、「見つける→判断する→対処する」の3ステップです。ここで事業者に義務付けられるのは、「熱中症の自覚症状がある作業者」や「熱中症のおそれがある作業者を見つけた者」がその旨を報告するための体制整備および関係作業者への周知です。
報告を受けるだけでなく、職場巡視などにより、熱中症の症状がある作業者を積極的に把握するよう努めることが推奨されます。
また、熱中症のおそれがある労働者を把握した場合に、迅速かつ的確な判断が可能となるよう、

①事業場における緊急連絡網の作成、緊急搬送先の連絡先および所在地等の把握および周知

②作業離脱、身体冷却、医療機関への搬送等熱中症による重篤化を防止するために必要な措置の実施手順の作成および関係作業者への周知

も行なわなければなりません。
本改正は令和7年6月1日から施行されます。

その他の新法令・通達

著作物利用の円滑化

(令和7.4.8 文化庁告示第6号=未管理公表著作物等の利用の可否に係る著作権者の意思を確認するための措置等を定める件)

著作権法の改正により、著作物等の利用の可否に係る著作権者等の意思が確認できない場合の著作物等の利用に関する裁定制度(未管理公表著作物裁定制度)の創設に伴い、未管理公表著作物等について、確認できた2つ以上の連絡先等に意思確認のための連絡を行ない、14日間、著作権者からの応答を確認するなど、利用の可否に関する意思確認の方法が規定されました。

道路の安全を守る

(令和7.4.16 法律第22号=道路法等の一部を改正する法律)

自然災害の頻発や道路の老朽化等により、安全かつ円滑な道路交通の確保の重要性が増大していることを踏まえ、道路啓開計画の法定化など、道路における平時からの備えと有事における初動対応の充実等の措置についての関係法令が整備されました。

自然がもたらすリスクへの備え

(令和7.4.23 法律第25号=港湾法等の一部を改正する法律)

令和6年の能登半島地震で明らかになった課題から、災害時の緊急物資の輸送拠点機能の確保のための応急公用負担の制度や、気候変動に伴う海水面上昇に対応した港湾の保全のための協働防護計画制度の創設など、港湾のリスクへの備えが整備されています。

デジタルによる行政手続き簡略化

(令和7.4.23 総務省.法務省令第1号=戸籍の附票の写し又は戸籍の附票の除票の写しの交付に関する省令の一部を改正する省令)

住民票の写し等の交付の電子請求の際には本人確認の電子署名が求められていましたが、対面で請求者の本人確認を行なうときは電子署名を不要とし、窓口のタブレット端末等を利用して請求することが可能になりました。

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