仮想通貨については、顧客の保有する仮想通貨の流出、仮想通貨交換業者の破綻、また仮想通貨の投機対象化などが発生する一方で、法規制等の環境整備が追いついていない状況でした。
そこで金融庁では、「仮想通貨交換業等に関する研究会」を設置し、制度のあり方について議論を進めてきましたが、このほどその検討結果が公表されました。
主な提言については、以下のとおりです。
●仮想通貨の流出リスク等への対応
ネット上で保管している顧客の仮想通貨相当額以上の純資産額・弁済原資の保持を義務付けるほか、財務書類の開示を義務付けます。
また、顧客の仮想通貨返還請求権を優先弁済の対象とする仕組みを整備します。
●業務の適正な遂行の確保
取引価格情報の公表を義務付けるほか、投機的取引を助長する広告・勧誘を禁止します。
このほか、自主規制規則に準じた社内規則を策定していない業者である場合、登録拒否あるいは取消しを行ないます。
●問題がある仮想通貨の取扱い
利用者保護や業務の適正かつ確実な遂行に支障を及ぼすおそれがある仮想通貨の取扱いを禁止するほか、取り扱う仮想通貨を変更する場合、事前届出が必要となります。
●ICO(仮想通貨を用いた資金調達)への対応
仮想通貨を使って一般に出資を募る行為が規制対象となることを明確化します。
さらに、仮想通貨の流通性の高さや投資家のリスク等を踏まえて、以下のような仕組みを整備します。
・50名以上に勧誘する場合、発行者に公衆縦覧型の情報資料の発行・継続開示を義務付け
・仲介業者を証券会社と同様の業規制の対象とし、発行者の事業・財務状況の審査を義務付け
・有価証券と同様の不公正取引規制を適用
・非上場株式と同様に、一般投資家への勧誘を制限
このほか、国際的な動向を踏まえ、「仮想通貨」の法令上の呼称を「暗号資産」に変更するとしています。
これらの提言等を受けて、資金決済法と金融商品取引法の改正を目指します。
注目したい法改正の動向
国土交通省は、無人隊列走行を行なうトラック向けの専用レーンを導入する検討に入りました。
無人隊列走行とは、トラックが隊列を組み、先頭車両のみ有人で、2台目以降は無人で走行するもの。車両と車両の間に他の車が入ると運行に支障をきたすことがあるので専用レーンが必要となります。
深刻なドライバー不足に対応するもので、2019年春の中間とりまとめを経て、道路交通法の改正に結び付けたい考えです。
外国人が日本で働いても、10年以上、保険料を支払い続けなければ老齢年金の受給資格は得られません。受給資格を満たす前に帰国する場合には「脱退一時金」制度がありますが、算定対象期間の上限は3年でした。このほど、改正入管難民法が成立したことを受け、厚生労働省では算定対象期間の上限を3年から5年に引き上げることを検討しています。
次期年金制度改革で議論される予定で、2020年の通常国会に関連法案を提出する方針です。
国土交通省は、オフィスビルやホテル、商業施設など新設の中規模建物(延べ床面積300平方メートル以上2000平方メートル未満)に省エネ基準への適合を義務付ける方針です。
これにより建築主は、断熱窓や高効率の空調、発光ダイオード(LED)照明といった設備の導入が求められます。
国土交通省は、2019年の通常国会に改正建築物省エネ法案を提出する予定で、義務化は2020年以降となる見通しです。