
上場会社の監査品質の確保と公認会計士の能力発揮に向けて、金融審議会の公認会計士制度部会が報告をとりまとめました。
●会計監査の信頼性確保
日本公認会計士協会の自主規制であった「上場会社監査事務所登録制度」について、公認会計士法上でも導入することが適当とされました。登録に際しては、登録者が業務停止処分中でないことや監査法人の場合に一定の社員数を有する等の適格性を日本公認会計士協会が確認することとしています。
また、上場会社の監査を行なう事務所に対して監査法人のガバナンス・コードの受入れなどの体制整備や情報開示の充実を規律付け、それができていない場合は登録を取り消せるようにすべきともしています。
●公認会計士・監査審査会によるモニタリング
公認会計士・監査審査会の立入検査権限等を見直し、監査法人等の業務の運営の状況に関して行なわれるものでなくとも、公益または投資者保護のため必要かつ適当と認めるときには、公認会計士・監査審査会において必要なモニタリング機能を発揮できるようにすることが適切とされました。
●公認会計士の能力発揮・能力向上
監査法人の社員の配偶関係に基づく業務制限の対象となる社員の範囲を、現行のすべての社員から、監査に関与する社員等に限定すべきとしています。
そのほか、次のような提言がなされています。
・企業等に勤務している公認会計士の登録事項に「勤務先」を追加する
・資格要件である実務経験期間を現行の2年以上から「3年以上」に見直す
・継続的専門研修の受講状況が不適当な者等の登録抹消規定の整備
・日本公認会計士協会による会計教育活動の推進
政府はこの報告を受け、公認会計士法の改正案を今国会に提出して審議する予定です。
注目したい法改正の動向
労働政策審議会労働条件分科会で研究者等に対する無期転換ルールについて討議されています。
そのなかで、福島復興再生特別措置法を改正し、国際教育研究拠点を設立してその研究者等については無期転換の申込みができるまでの期間を通算10年とする特例を設ける改正案が示されています。
中央最低賃金審議会の地域別最低賃金についての「目安制度の在り方に関する全員協議会」が開催されました。
今後の進め方と検討事項について、令和4年度中を目途に、とりまとめを実施する案が示されています。
国土交通省は、通常国会に以下の法案を提出する予定を公表しています。
「令和九年に開催される国際園芸博覧会の準備及び運営のために必要な特別措置に関する法律案」
「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法の一部を改正する法律案」
「自動車損害賠償保障法及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案」
「航空法等の一部を改正する法律案」
「宅地造成等規制法の一部を改正する法律案」
また、提出予定以外で検討中のものとして、「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の一部を改正する法律案( 仮称)」「港湾法の一部を改正する法律案(仮称)」を挙げています。
国際組織のFATF(金融活動作業部会)から、日本のマネーロンダリング対策が不十分であり強化すべきとの指摘がありました。
これを受け、古川禎久法務大臣は組織的犯罪処罰法の法定刑の引上げについて法制審議会に諮問することを明らかにしています。