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感染の疑い段階から宿泊拒否を可能にする旅館業法の見直し

平成30年6月に施行された改正旅館業法は、施行状況について施行後3年を目途として検討することとされていました。新型コロナウイルス感染症の拡大とまん延防止のための措置等の社会経済的影響等もふまえ、厚生労働省の設置した旅館業法の見直しに係る検討会が「旅館業の制度の見直しの方向性について」をとりまとめました。項目別に次のような方向性が示されています。

●事業承継手続きの整備「旅館業の事業譲渡を受けた法人または個人が、その事業譲渡について都道府県知事等の承認を受けたときは、営業者の地位を承継する」といった、相続等の場合と同等の事業承継の手続簡素化に関する規定を新たに設ける方向で検討すべきであるとしています。 ●宿泊拒否制限旅館・ホテルは今後とも安心して利用できる安全な宿泊の場であるべきで、かつ、不当な差別が行なわれてはならないという共通認識から、関係者の意見を聞きながら、以下のような案を中心に、調整を進めていくべきであるとされました。

①発熱等の感染症の症状を呈する者には、旅館業の営業者から、医療機関の受診や関係機関との連絡・相談、滞在中の感染対策を要請できるようにし、正当な理由なく応じない場合は宿泊拒否を可能とする。
正当な理由としては、医療機関が診療時間外のとき、がん等で発熱していると想定されるとき等が挙げられています。

②該当する伝染性の疾病を「1類感染症、2類感染症、新型インフルエンザ等感染症、新感染症、指定感染症の患者」と規定する。

③宿泊客に対し必要と定められた感染対策を要請することができるようにし、正当な理由なく応じない場合は宿泊拒否を可能とする。

④「迷惑客」「旅館・ホテルの合理的な負担の範囲を超える利用」等の過重な負担であって対応困難なものを繰り返し求められたときに宿泊拒否を可能とする。

⑤旅館業の営業者の努力義務に「従業員の研修」を加えることにより、差別防止を更に徹底する。

このうち①と③は、パンデミックなどの際にのみ発動します。 ●宿泊者名簿の記載事項等 ・宿泊者名簿の記載事項
宿泊者名簿から、保健所等に必要とならない情報である「職業」は削除し、「連絡先」を追加する方向で検討すべきであるとしています。

・宿泊者の本人確認
身分証明書による本人確認の義務づけは、今回の見直しでは行なわず、実情をふまえながら、引き続き検討を行なうとしています。
宿泊者名簿の正確な記載を確保するため、営業者が身分証明書等で確認することは考えられるものであり、応じない者への法的対応策を検討すべきである、ともされます。 厚生労働省はこれを受け、旅館業法の改正案をまとめる予定です。

注目したい法改正の動向

薬剤師に関する規制緩和

厚生労働省の「薬局薬剤師の業務及び薬局の機能に関するワーキンググループ」が、薬剤師が地域で活躍するためのアクションプランをとりまとめて公表しました。
薬局以外の場所でのオンライン服薬指導を可能とする、調剤業務の一部外部委託を法令上認める、処方箋の規制を見直すなどの業務効率化の方向性が示されています。

環境配慮の強化

環境省は「環境配慮契約法基本方針検討会」を設置し、令和4年度の環境配慮契約法の基本方針などについて、検討を開始しました。設計や維持管理など建築物に係る契約に関して、さらなる温暖化ガスの排出削減を進めることなどが具体的な検討事項として挙がっています。

著作権不明作品の二次利用促進

権利者不明の著作物の二次利用は手続きが煩雑で、コンテンツとして活用しづらいことが課題とされていました。
手続きのための一元化した窓口を設置するなど、そのハードルを下げる法整備を検討するために、令和4年度の文化審議会著作権分科会法制度小委員会が発足しました。
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