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事業性融資推進法に伴う関係法令の整備

令和7年7月31日までに発表・公布された主な法令・通達についてわかりやすく解説します。

令和7.7.2 政令第242号=事業性融資の推進等に関する法律の施行期日を定める政令 ほか

令和6年6月、事業性融資の推進等に関する法律(事業性融資推進法)が成立・公布されました。
この法律は、事業者が、不動産担保や経営者保証等によらず、事業の実態や将来性に着目した融資を受けやすくなるよう、事業性融資の推進に関して「基本理念」「国の責務」「事業性融資推進本部」「企業価値担保権」「認定事業性融資推進支援機関」等について定めるものとして新設されたものです。
その施行期日が令和8年5月25日とされ、併せて関係法令が整備されました。
不特定被担保債権留保額の算定方法が確定
企業価値担保権制度においては、金融機関の貸付けなどを念頭に置いた特定被担保債権と、債務者に対する一般債権を念頭に置いた不特定被担保債権の2種類の被担保債権が前提とされ、事業の成長・継続に資する事業性融資の後押しという政策目的のため、特定被担保債権者に担保目的財産から優先的に弁済を受ける権利が付与されます。
特定被担保債権の債務不履行があった場合、裁判所により企業価値担保権実行手続きの開始決定がなされ、管財人が手続きを進めます。
この手続きの結果、特定被担保債権に対する配当は、配当可能額から不特定被担保債権留保額を控除した額となります。
この不特定被担保債権留保額の算定方法が定められました。配当可能額が500万円以下の場合、不特定被担保債権留保額は「配当可能額×30%」(70万円を下回る場合は70万円)となります。
また、企業価値担保権の担保権者は、事業性融資推進法で創設された企業価値担保権信託会社に限定されます。その企業価値担保権信託会社が営むことができる兼業業務の内容が定められました。
そして、企業価値担保権に関する登記の申請をする場合に登記所に提供が必須の申請情報および添付情報の内容、その他同法の施行のために必要な事項が定められました。
この法律の施行によって、決算書の内容や担保・保証によって融資の可否が判断されるのとは別に、創業間もない企業や新規事業に挑戦する企業の資金調達の機会が増えることが期待されています。

その他の新法令・通達

著作権の利用促進

(令和7.7.2 政令第241号=著作権法施行令の一部を改正する政令)

著作権法の改正に伴い、未管理著作物裁定制度の申請手数料が、1件につき1万3800円と定められました。

本人確認の規制緩和

(令和7.7.4 政令第245号=行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律施行令の一部を改正する政令)

個人番号カードを代理人に交付する際に求められる当該代理人の本人確認の措置は「書類の提示」に限定されていましたが、新たに書類の提示に「準ずるものとして主務省令で定める措置」をとることができるとされました。

障害基礎年金額の見直し

(令和7.7.4 政令第253号=国民年金法施行令等の一部を改正する政令)

20歳前に発した傷病による障害に係る障害基礎年金等について、受給権者全体の前年の所得上昇等を勘案し所得基準額の引上げが行なわれました。

点検項目の自動化

(令和7.7.8 国土交通省告示第515号=自動車の点検及び整備に関する手引の一部を改正する告示)

自動運転技術や電動車の普及が進むなか、自動車の点検および整備に関する手引きが改正され、ブレーキ・ペダルの踏みしろなどの点検項目について、目視等により直接確認する従来の点検方法に加え、一部点検項目について、セルフチェック(OBD)機能を活用した確認方法等が認められます。

休業補償給付等の改定

(令和7.7.25 厚生労働省告示第207号=労働者災害補償保険法第8条の2第2項各号の厚生労働大臣が定める額を定める件)

前年の賃金構造基本統計調査の結果に基づき、令和7年8月以降の休業補償給付等に係る最低限度額および最高限度額が定められました。

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