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「下請事業者」を「中小受託事業者」に改め支払遅延等対策を強化

令和7年5月30日までに発表・公布された主な法令・通達についてわかりやすく解説します。

令和7.5.23 法律第41号=下請代金支払遅延等防止法及び下請中小企業振興法の一部を改正する法律

物価上昇を上回る賃上げを実現するために、中小企業をはじめとする事業者の取引を適正化し、賃上げの原資を確保するための価格転嫁をさらに進めていくことが求められています。
下請代金支払遅延防止法の「下請事業者」が「中小受託事業者」に、「親事業者」が「委託事業者」に改められ、法律名が「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」とされ、取引適正化のための規制が強化されるとともに、いわゆる「下請」という呼称がなくなります。
規制内容・対象の見直しと執行の強化
支払遅延等としては次のような改正が行なわれました。

①協議を適切に行なわない代金額の決定の禁止
中小受託事業者から求めがあったにもかかわらず、委託事業者が代金に関する協議に応じない、または必要な説明や情報の提供をしないまま一方的に代金の額を決定する行為が禁止されました。

②手形払等の禁止
支払手段としての手形払いが禁止されました。
電子記録債権やファクタリングなどの支払手段についても、支払期日までに代金相当額を得ることが困難なものは併せて禁止されています。

③運送委託の対象取引への追加
製造、販売等の目的物の引渡しに必要な運送の委託が、規制対象の取引に追加されました。

④従業員基準の追加
適用基準として従業員数300人(役務提供委託等は100人)の区分が新設され、規制および保護の対象が拡充されました。

⑤面的執行の強化
指導・助言等の監督行為を行なう所管当局に、対象事業者の事業を所管する省庁の主務大臣が追加されました。これにより、公正取引委員会、中小企業庁、事業所管省庁の3組織が連携して調査・監督に当たることとなりました。
下請中小企業振興法も法律名が「受託中小企業振興法」に改められ、用語の見直しとともに対象事業者への支援が強化されました。

改正法は、令和8年1月1日(一部の規定は公布の日)から施行されます。

その他の新法令・通達

メンタルヘルス対策の推進

(令和7.5.14 法律第33号=労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律)

これまで努力義務とされていた労働者50人未満の事業場についてもストレスチェックが義務付けられました。

リチウム電池の管理規制

(令和7.5.14 政令第191号=危険物の規制に関する政令の一部を改正する政令)

蓄電池製造等を行なう取扱所の位置、構造、設備の基準に係る規定の整備など、リチウムイオン蓄電池の取扱い等に係る規制が見直されました。

熱中症対策の強化

(令和7.5.20 基発0520第6号=労働安全衛生規則の一部を改正する省令の施行等について)

労働安全衛生規則で熱中症への対策が義務付けられたことに伴い、省令の概要や細部事項が示されています。

安定的な医薬品等の供給

(令和7.5.21 法律第37号=医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律)

医薬品等の品質・安全性の確保の強化等の観点から、医薬品品質保証責任者・医薬品安全管理責任者の設置の義務付けが薬機法で法定化されます。

悪質ホストクラブ規制

(令和7.5.28 法律第45号=風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の一部を改正する法律)

「色恋営業」の禁止など、悪質ホストクラブへの規制が強化されています。

NTT法の見直し

(令和7.5.28 法律第46号=電気通信事業法及び日本電信電話株式会社等に関する法律の一部を改正する法律)

NTT法が改正され、固定電話サービスの全国一律の提供義務が緩和されました。

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