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「労働条件通知書」の電子化(メール送信等)の留意点

4月の総務豆知識

「労働条件通知書」の電子化(メール送信等)の留意点
最終更新日:2024年3月26日
雇用契約締結時の「労働条件通知書」について、書面に代えて、電子メール等による交付も可能です。
ここでは、電子メール等で交付する際の留意点について解説します。

(1)電子化の法的根拠

労働基準法第15条第1項は、労働条件の明示について次のように規定しています。
使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。
原則は書面の交付ですが、労働者が次のいずれかの方法を希望する場合には、その方法とすることが認められます(労働基準法施行規則第5条第4項)。
  1. ファクシミリを利用してする送信の方法
  2. 電子メールその他のその受信をする者を特定して情報を伝達するために用いられる電気通信の送信の方法(当該労働者が当該電子メール等の記録を出力することにより書面を作成することができるものに限る)
なお、書面でも、電子メール等でも、労働者に明示しなければならない事項は同じです。

(2)電子化の運用上の留意点

労働条件通知書の電子化における留意点をまとめると、次のようになります。
項目 内容
電子メール等の定義 電子メールのほか、SNSのメッセージ機能等を利用したものも含まれます。
労働者からの同意の取得 電子化が可能なのは「労働者が希望する場合」なので、事前に労働者から電子メール等で交付することの同意が必要になります。労働者が希望しない場合は、書面で交付しなければなりません。
書面出力が可能であること 電子メール等の記録を出力することにより、書面を作成できなければなりません。特に、SNSを利用する際、この要件をクリアできるかに注意が必要です。
受信者を特定して送信すること その労働条件が適用される労働者個人を特定して送信しなければなりません。
明示とは認められない場合 労働者の個人的なブログやホームページへの書き込みによる明示は、法的な要件を満たす明示とは認められません。

(3)電子化のメリット

労働条件通知書を電子化することの最大のメリットは、採用や契約更新における関連事務の効率化です。特に、パート・アルバイトを多く雇用する企業にとって、労働条件通知書の電子化による負担軽減効果は大きいでしょう。
また、交付後の文書(情報)管理という面でも、電子データ化(PDFなど)した労働条件通知書を整理・整頓しておけば、必要な場合に即座に検索することができますし、書類の保存スペースも不要になります。
電子化に際しては、電子メール等を利用できる環境があればよく、特段の設備やシステムの更新等は必要ありませんから、中小企業でも対応が容易です。うまく活用して、採用や契約更新における事務作業の効率化と労務管理の改善を図りましょう。