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減価償却の定額法・定率法の考え方と計算方法

4月の経理豆知識

減価償却の定額法・定率法の考え方と計算方法
最終更新日:2024年3月26日
事業用の資産(機械・装置など)を購入した場合、その購入費用については、基本的に「減価償却」という手続きが必要です。
減価償却では、資産の取得価額をまずは「資産」として計上し、資産価値の減少(使用可能期間)に応じて徐々に費用処理していくことになります。

(1)「企業会計原則」の規定

企業会計の普遍的なルールを定める「企業会計原則」は、すべての企業が従うべき基準とされています。
この企業会計原則では、資産の取得価額の費用配分について、次のように規定しています。
資産の取得原価は、資産の種類に応じた費用配分の原則によって、各事業年度に配分しなければならない。有形固定資産は、当該資産の耐用期間にわたり、定額法、定率法等の一定の減価償却の方法によって、その取得原価を各事業年度に配分し、無形固定資産は、当該資産の有効期間にわたり、一定の減価償却の方法によって、その取得原価を各事業年度に配分しなければならない。
したがって、資産(有形固定資産)の減価償却は、企業会計原則上、「定額法、定率法等の一定の減価償却の方法」による必要があります。

(2)法人税法における減価償却

法人税法では、減価償却資産の種類に応じて償却方法が定められています。以下、定額法と定率法について、基本的な考え方と計算方法を確認してみましょう。


①定額法による減価償却

定額法は、取得価額に資産の耐用年数に応じた償却率を乗じて、各事業年度の償却限度額を計算する方法をいいます。耐用年数の期間にわたって、毎年の償却費が同じになるという特徴があります。
定額法による償却限度額の計算式は次のとおりです。
取得価額×「定額法の償却率」=償却限度額
定額法の償却率は、「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」の別表第八(2007年4月1日以後の取得分)に定められています。 法定耐用年数5年、取得価額100万円の資産を定額法により減価償却する場合の償却限度額の計算例をみてみましょう(細かい前提条件等は考慮せず、(ごく)単純化したイメージです)。


定額法による償却限度額の計算例
償却限度額の計算 期末帳簿価額
1年目 1,000,000円×0.200(定額法の償却率)=200,000円 800,000円
2年目 1,000,000円×0.200(定額法の償却率)=200,000円 600,000円
3年目 1,000,000円×0.200(定額法の償却率)=200,000円 400,000円
4年目 1,000,000円×0.200(定額法の償却率)=200,000円 200,000円
5年目 1,000,000円×0.200(定額法の償却率)=200,000円 0円(実務上は残存価額「1円」を計上)
この例では、毎年20万円が減価償却費として損金に算入され、5年で減価償却が終わることになります。


②定率法による減価償却

定率法は、償却費が毎年一定の「割合」で減っていく償却方法です。そのため、耐用年数の初期ほど償却額が大きく、時間(年数)が経過するに従って償却額が少なくなっていくという特徴があります。
定率法による償却限度額の計算式は次のとおりです。

・1年目
取得価額×「定率法の償却率」=償却限度額

 
・2年目~
期首帳簿価額×「定率法の償却率」=償却限度額

*この金額が償却保証額に満たなくなった年分以後は、「改定取得価額×改定償却率」による。

定率法の償却率等は、「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」の別表第十(2012年4月1日以後の取得分)に定められています。 法定耐用年数5年、取得価額100万円の資産を定率法により減価償却する場合の償却限度額の計算例をみてみましょう(細かい前提条件等は考慮せず、単純化したイメージです)。


定率法による償却限度額の計算例
償却限度額の計算 期末帳簿価額
1年目 1,000,000円×0.400(定率法の償却率)=400,000円 600,000円
2年目 600,000円×0.400(定率法の償却率)=240,000円 360,000円
3年目 360,000円×0.400(定率法の償却率)=144,000円 216,000円
4年目(*) 216,000円(改定取得価額)×0.500(改定償却率)=108,000円 108,000円
5年目(*) 216,000円(改定取得価額)×0.500(改定償却率)=108,000円 0円(実務上は残存価額「1円」を計上)

(*)詳細な説明は省きますが、4年目と5年目は、耐用年数の終盤における定率法の特別な計算方法(「改定取得価額×改定償却率」)によります。

この例でも、定額法の場合と同様、結果的に5年で減価償却が終わることになりますが、各年の償却限度額には大きな違いがあります。