• ヘルプ
  • MYページ
  • カート

消費税の軽減税率とインボイス方式への移行

7月の経理豆知識

消費税の軽減税率とインボイス方式への移行
最終更新日:2023年6月29日
消費税の課税取引に対して適用される消費税率は、現在、次のように複数(2段階)になっています。
標準税率 10%
(消費税率7.8%、地方消費税率2.2%)
軽減税率 8%
(消費税率6.24%、地方消費税率1.76%)
以下、軽減税率制度の概要について解説します。

(1)軽減税率の対象

8%軽減税率が適用される品目は、以下のとおりです。
区分 軽減税率の対象品目
飲食料品 食品表示法に規定する「食品」(酒類を除く)で、一定の「一体資産」を含む
新聞 一定の題号を用い、政治、経済、社会、文化等に関する一般社会的事実を掲載する、週2回以上発行の定期購読契約に基づくもの

・「食品」とは

食品表示法に規定する「食品」とは、人の飲用または食用に供される飲食物をいいます(医薬品等を除きます)。
食品であっても、外食やケータリング等は軽減税率の対象品目に含まれません。
外食は、飲食店等の事業者が、飲食に用いられる設備がある場所で行なう食事の提供をいいます。ケータリングは、相手方が指定した場所で食事の提供を行なう事業者が、切り分け・盛り付けなどのサービスを伴って食事の提供をすることをいいます。

・「一体資産」とは

一体資産とは、おもちゃ付きのお菓子など、食品と食品以外の資産があらかじめ一体となっている資産で、かつ、その一体資産に係る価格のみが提示されているものをいいます。
一体資産のうち、税抜価額が1万円以下で、食品の価額の占める割合が3分の2以上である場合に限り、全体が軽減税率の対象となります。

(2)帳簿・請求書等の記載・保存

課税事業者は、2019年10月1日~2023年9月30日の間、仕入税額控除のためには、帳簿と区分記載請求書等の保存が必要です。これを「区分記載請求書等保存方式」といいます。
軽減税率により消費税率が8%と10%の複数税率になっているため、事業者は取引等を税率の異なるごとに区分して記帳する必要があります。
なお、免税事業者であっても、課税事業者と取引をする場合には、相手方から区分記載請求書等の発行を求められることがあります。

(3)適格請求書等保存方式(インボイス方式)への移行

2023年10月1日以降、区分記載請求書等保存方式に代わって、「適格請求書等保存方式(インボイス方式)」が導入されます。
適格請求書とは、「売手が、買手に対し正確な適用税率や消費税額等を伝えるための手段」で、一定の事項が記載された請求書や納品書等の書類をいいます。
適格請求書等保存方式では、課税事業者が発行する適格請求書に記載された税額のみが仕入税額控除の対象となります。
適格請求書を交付することができるのは、「適格請求書発行事業者」に限られます。適格請求書発行事業者となるためには、税務署長に対して「適格請求書発行事業者の登録申請書」を提出し、登録を受ける必要があります。
適格請求書等保存方式が導入される2023年10月1日から登録を受けるためには、2023年9月30日までに登録申請書を提出する必要があります。
なお、2023年9月30日までに登録申請書を提出した場合は、制度開始日の2023年10月1日までに登録通知が届かなかった場合でも、同日から登録を受けたものとみなされます。

(4)小規模事業者に対する特例措置

事務負担の軽減を目的として、基準期間における課税売上高が1億円以下または特定期間の課税売上高が5,000万円以下の事業者は、少額(税込1万円未満)の課税仕入れについて、インボイスの保存がなくても仕入税額控除が認められます(6年間)。
この特例措置は、取引先がインボイス発行事業者であるかどうかは関係ありません(免税事業者であっても同様です)。
また、インボイス制度を機に、免税事業者からインボイス発行事業者として課税事業者になった場合には、消費税の納税額を売上税額の20%とする措置(2割特例)が導入されます(3年間)。

2023年07月の「経理豆知識」トピックス