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定時決定・随時改定には「保険者算定」の特例があります

2024年7月の総務豆知識

定時決定・随時改定には「保険者算定」の特例があります
最終更新日:2024年6月28日
通常の方法では報酬月額を算定することが困難な場合や、著しく不当である場合、厚生労働大臣(日本年金機構)が報酬額を算定し、標準報酬月額を決定します。この手続きを「保険者算定」または「保険者決定」といいます。
ここでは、定時決定と随時改定における「年間平均額による保険者算定」について解説します。

(1)定時決定における「年間平均額による保険者算定」

定時決定では、原則として、4月~6月までの3か月の報酬に基づいて標準報酬月額が決定されます。
しかし、毎年、業務の都合で4月から6月(定時決定の対象月)だけが忙しく、残業代等が増えてしまうという企業もあります。そうすると、4月~6月の給与に基づく標準報酬月額が、4月~6月以外の給与水準と比べて不相当に高くなってしまいます。年間を通じても、実際の給与と標準報酬月額に乖離が生じます。
そこで、「年間平均額による保険者算定」という仕組みが設けられています。
この仕組みが適用できるのは、次の要件を満たした場合です(いずれの月も支払基礎日数が17日以上であることが前提)。
  1. 「通常の方法で(4月~6月までの3か月の報酬に基づいて)算出した標準報酬月額」と「年間平均(前年7月から6月までの平均)で算出した標準報酬月額」との間に、2等級以上の差が生じていること
  2. この2等級以上の差が業務の性質上、例年発生することが見込まれること
  3. 従業員が、この「年間平均額による保険者算定」に同意していること
条件を満たし、「年間報酬の平均で算定することの申立書」(定時決定用)と所定の添付書類を提出すれば、過去1年間の月平均報酬月額によって標準報酬月額が改定されます。

定時決定の「年間平均額による保険者算定」の手続きの詳細については、日本年金機構のホームページを参照してください。

(2)随時改定における「年間平均額による保険者算定」

定時決定と同じく、随時改定においても、「年間平均額による保険者算定」の仕組みが設けられています。
この仕組みが適用できるのは、次の要件を満たした場合です(いずれの月も支払基礎日数が17日以上であることが前提)。
  1. 「従前(現在)の標準報酬月額」と「通常の随時改定による標準報酬月額」との間に、2等級以上の差が生じること
  2. 「通常の随時改定による標準報酬月額」と「年間平均額による標準報酬月額」との間に、2等級以上の差が生じること
  3. 「通常の随時改定による標準報酬月額」と「年間平均額による標準報酬月額」の差が、業務の性質上、例年発生することが見込まれること
  4. 「従前(現在)の標準報酬月額」と「年間平均額による標準報酬月額」との間に、1等級以上の差があること
上記1~3の要件を満たしても、従前の標準報酬月額と年間平均額による標準報酬月額に1等級以上の差がない場合には、随時改定が行なわれません。
つまり、特定の3か月間の変動が大きくても、年間にならすと変動が小さい(1等級に満たない)場合には、標準報酬月額は変わらないということです。

要件が複雑でわかりにくいので、フローチャート風にしてみましょう。
条件を満たし、「年間報酬の平均で算定することの申立書」(随時改定用)と所定の添付書類を提出すれば、過去1年間の月平均報酬月額によって標準報酬月額が改定されます。

随時改定の「年間平均額による保険者算定」の手続きの詳細については、日本年金機構のホームページを参照してください。