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税務当局の処分に不服があった場合はどうする?

2025年7月の経理豆知識

税務当局の処分に不服があった場合はどうする?
最終更新日:2025年6月26日
税務当局(税務署、国税庁等)は、7月~翌年6月までが一事務年度です。
6月で2024事務年度が終了し、7月に人事異動が実施されて体制が整い、2025事務年度の税務調査に着手することになります。
税務調査では、申告内容が正しいかどうかを帳簿書類などで確認し、申告内容に誤りが認められた場合や、申告の義務がありながら申告していなかったことが判明した場合には、その是正が求められます。
以下では、税務当局の指摘・処分に納得がいかない場合の手続きについて確認します。

(1)税務署から更正処分を受けた場合の対応

税務調査において、税務当局が指摘した誤りに対して納税者が非を認めない場合、税務当局は納税者に対して「更正処分」を行ないます。
これに対して、納税者には不服申立ての機会が保障されています。つまり、税務署長の処分に不服があるときは、その処分の取消しや変更を求める不服申立てを行なうことができます。
具体的には、次のいずれかを選択します。「いずれか」ですから、同時に両方の請求をすることはできません。
  1. 更正処分を出した税務署長に対して再調査の請求を行なう
  2. 国税不服審判所長に対して審査請求を行なう
国税不服審判所は、国税庁の特別の機関で、国税局や税務署から分離された(別個の)機関として設置されています。国税に関する法律に基づく処分について、審査請求に対する裁決を行ないます。

(2)税務署長への再調査の請求

更正処分を受けてから3か月以内に、税務署長に対して再調査を請求します。税務署長は、その処分が正しかったかどうかを改めて検討し、その結果を「再調査決定書」により納税者に通知します。
再調査の請求についての決定にも不服がある場合には、その決定から1か月以内に、国税不服審判所長に対して審査請求をします。
再調査を請求してから3か月を経過して再調査の決定が出ない場合にも、国税不服審判所長に対して審査請求を行なうことができます。
更正処分
不服(3か月以内)
税務署長に対し再調査を請求
調査
再調査の請求についての決定
(「再調査決定書」による通知)
不服(1か月以内)
国税不服審判所長に対する審査請求
これ以降の流れについては、次の(3)を参照してください。

(3)国税不服審判所長への審査請求

更正処分を受けてから3か月以内に、国税不服審判所長に対して審査請求をします。
国税不服審判所は、審査請求人と原処分庁(税務署長等)の双方の主張を聴き、必要があれば自ら調査をして、公正な立場で審理をしたうえで「裁決」を行ないます。この裁決は、行政部内の最終判断ですから、原処分庁は不服があっても訴訟を提起することはできません。
国税不服審判所への審査請求から裁決が出るまでには、1年程度かかるのが通常です。
この裁決にも納得がいかない場合には、裁決が出てから6か月以内に、地方裁判所に提訴することになります。
国税不服審判所長に対する審査請求
審査(1年程度)
裁決(「裁決書」による通知)
不服(6か月以内)
地方裁判所へ提訴
なお、審査請求から3か月を経過しても裁決がないときは、裁決を経ないで訴訟を提起することができます。

ちなみに、2024年度(2024年4月1日~2025年3月31日)の国税不服審判所長への審査請求件数は3,537件です。
一方、同年度中に処理されたのは3,872件で、そのうち納税者の主張がすべて認められたものが171件、一部のみ認められたものが522件でした。
一部認容を含めても、納税者の主張が認められたものは2割もありませんから、そのハードルは相当に高いと言わざるを得ないでしょう。

参考

税務署長の処分に不服があるとき(国税庁)
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/07_2.htm

No.7210 「不服申立て」ができる場合、できない場合(国税庁)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/fufuku/7210.htm

H5-1 税務署長又は国税局長が行った更正や決定、滞納処分などに不服があるときの再調査の請求手続(国税庁)
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/fufuku/annai/01.htm

令和6年度における審査請求の概要(国税庁)
https://www.nta.go.jp/information/release/pdf/2024/shinsa.pdf