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事業継続・承継を支援する「中小企業強靱化法」とは

8月の総務豆知識

事業継続・承継を支援する「中小企業強靱化法」とは
最終更新日:2023年7月27日
自然災害の頻発や経営者の高齢化などによって、多くの中小企業の事業活動の継続が危ぶまれています。
「中小企業強靱化法」は、中小企業が事業活動を継続できるよう、災害対応力を高めるとともに、円滑な事業承継を促進することを目的としています。
以下、中小企業強靭化法のポイントをみていきます。

(1)事業継続力の強化

中小企業の事業継続力の強化に関する施策は下表のとおりです。
項目 内容

1.事業継続力の強化に関する「基本方針」の策定

中小企業が行なう事前対策の内容や関係者(親事業者、金融機関、地方自治体、商工団体等)に期待される協力を規定した基本方針を策定する。

2.事業継続力の強化に関する計画の認定と支援

「事業継続力強化計画」や「連携事業継続力強化計画」を経済産業大臣が認定し、認定事業者に対し、信用保証枠の追加、低利融資、税制優遇等の支援措置を講じる。

3.商工会・商工会議所による事業継続力の強化支援

商工会・商工会議所が市区町村と共同で行なう支援事業(指導助言、復旧支援等)に関する計画を都道府県が認定する。
2023年6月末現在、全国で累計55,751件の事業継続力強化計画が認定されています。

(2)中小企業の経営承継の円滑化

現在、個人の事業用資産(土地、建物、機械・器具備品等)の承継に係る贈与税・相続税を100%納税猶予する「個人版事業承継税制」(贈与税・相続税の納税猶予・免除)が設けられています。
2028年12月31日までの贈与または相続等により、特定事業用資産(個人版事業承継税制の対象となる資産)を取得し、一定の要件を満たした場合に適用されます。
この個人版事業承継税制を踏まえて、その効果が十分に発揮されるよう、「遺留分に関する民法の特例」の対象が、個人事業者にも拡大されています。

たとえば、相続人が複数いる場合に、後継者に自社株式を集中して承継させようとしても、遺留分を侵害された相続人から遺留分の返還を求められた結果、自社株式が分散してしまうなど、事業承継にマイナスとなる(事業承継が阻害される)ことがあります。
こうした遺留分の問題に対処するため、経営承継円滑化法は「遺留分に関する民法の特例」を規定しています。
後継者を含めた相続人全員の合意のうえで、遺留分に関する民法の特例の適用を受ければ、自社株式の分散等を防ぐことができます。

個人版事業承継税制においても、このしくみが個人の事業承継に適用されます。

(3)その他のポイント

中小企業等が社外の高度人材(弁護士・税理士・公認会計士等)を活用して新事業分野を開拓する計画を認定し、認定を受けた中小企業等に対し、金融支援・税制支援を実施します。
また、小規模事業者に対して、商工会・商工会議所と市区町村が連携して支援事業を実施します。
なお、事業継続力強化計画の2回目以降の申請の際には、直近の計画の実施状況を記載した「実施状況報告書」の添付が必要です。

2023年08月の「総務豆知識」トピックス