• ヘルプ
  • MYページ
  • カート

被災による損失等の法人税上の取扱いはどうなっている?

8月の経理豆知識

被災による損失等の法人税上の取扱いはどうなっている?
最終更新日:2023年7月27日
8月から9月にかけては、風水害や土砂災害などにより、企業の資産が被災するリスクが高くなる時期です。
被災した場合の損失等に関する法人税の基本的な取扱いとしては、次のようなものがあります。
項目 取扱い

(1)災害により滅失・損壊した資産等

法人の資産が災害により被害を受けて、次のような損失または費用が生じた場合には、その損失または費用の額は損金の額に算入できる。

①商品や原材料等の棚卸資産、店舗や事務所等の固定資産などの資産が災害により滅失または損壊した場合の損失

②損壊した資産の取壊しまたは除去の費用

③土砂その他の障害物の除去の費用

(2)資産の評価損

棚卸資産、固定資産等について災害による著しい損傷が生じ、その時価が帳簿価額を下回った場合には、帳簿価額と時価との差額を評価損として損金の額に算入できる。

(3)復旧のために支出する費用

災害により被害を受けた固定資産について支出する費用の資本的支出と修繕費の区分は、次のとおり。

①原状を回復するための費用……修繕費

②被災前の効用を維持するための補強工事、排水または土砂崩れの防止等のために支出する費用……修繕費とする経理をしている場合は、修繕費

③支出費用(上記①または②を除く)の額のうち、資本的支出か修繕費か明らかでないものがある場合……30%相当額を修繕費とし、残額を資本的支出とする経理をしている場合は、この処理が認められる

(4)災害損失特別勘定の設定等

災害のあった日の属する事業年度において、棚卸資産、固定資産等の修繕等のために、災害のあった日から1年以内に支出する費用として適正な金額(繰上限度額以下)を見積もり、その金額を災害損失特別勘定に繰り入れた場合は、損金の額に算入できる。

(5)災害による損失金の繰越し

災害により生じた損失に係る欠損金額がある場合は、その損失の発生した事業年度が青色申告書を提出できない事業年度であっても、その事業年度から10年間(2018年4月1日前に開始した事業年度は9年間)にわたって繰り越して控除される。

(6)災害損失欠損金の繰戻しによる還付

一定の場合には、災害損失欠損金額に係る事業年度または中間期間開始の日前1年(青色申告書を提出する場合は前2年)以内に開始した事業年度の法人税額のうち、その災害損失欠損金額に対応する部分の金額の還付を請求できる。
地球温暖化の影響などもあり、災害に見舞われて被害を受けるリスクが高まっています。
万一の事態に備えて、被災した場合の損失等の取扱いを確認しておきましょう。

2023年08月の「経理豆知識」トピックス