• ヘルプ
  • MYページ
  • カート

「中小企業防災・減災投資促進税制」の活用で“災害対応力”を高めよう

8月の経理豆知識

「中小企業防災・減災投資促進税制」の活用で“災害対応力”を高めよう
最終更新日:2023年7月27日
近年、日本全国で地域の中小企業・小規模事業者に大きな影響を与える自然災害が頻繁に発生するなか、災害による影響を軽減するための事前対策の強化が喫緊の課題となっています。
以下では、2023年度税制改正において拡充・延長された中小企業防災・減災投資促進税制の内容を確認します。

(1)制度の概要

中小企業防災・減災投資促進税制は、災害への事前対策を強化する計画を策定し、その計画について経済産業大臣の認定を受けた中小企業・小規模事業者が対象となります。
2023年度税制改正により、適用期限が2年(2025年3月31日まで)延長されるとともに、対象設備が追加されました。
本税制の対象となる防災・減災設備の要件は次のとおりです。
区分 取得価額 設備の内容
機械・装置 100万円以上 自家発電設備、浄水装置、揚水ポンプ、排水ポンプ、耐震・制震・免震装置
器具・備品 30万円以上 自然災害:すべての設備
感染症:サーモグラフィ装置
建物附属設備 60万円以上 変圧器、配電設備、無停電電源装置、止水板、耐震・制震・免震装置、防火シャッターなど
上記の認定を受けた計画に含まれる防災・減災設備を取得した場合には、対象設備への投資に対して特別償却(18%)が認められます(2025年4月1日以後に取得等をするものは16%)。
特別償却とは、通常の減価償却費とは別に、償却費を追加で計上できるものです。特別償却により、減価償却資産を通常よりも早期に償却(費用化)することができます。

(2)適用手続きの流れ

中小企業防災・減災投資促進税制の適用を受けるための手続きの流れは、おおむね次のとおりです。
1.災害への事前対策を強化する計画を策定
2.計画の認定を申請
3.経済産業大臣が計画を認定
4.認定計画に含まれる対象設備を取得
5.企業が税務申告
6.特別償却

(3)災害対策の重要性

たとえば、大地震の発生に備えて、事前に工場の生産設備などに耐震・制震・免震対策を施しておけば、設備の転倒、損壊等を防ぐことができるでしょう。
また、災害による大規模停電により、冷凍・冷蔵の食材在庫を大量に廃棄せざるを得ない事例があったことから、停電による被害を回避するために、自家発電設備を設置することが考えられます。
中小企業・小規模事業者は、経済のサプライチェーンや地域の雇用を支える重要な役割を担っています。
特別償却という税制上の優遇措置もあることから、災害への事前対策の強化を検討してみてはいかがでしょうか。

2023年08月の「経理豆知識」トピックス