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「企業版ふるさと納税」(地方創生応援税制)のしくみ

8月の経理豆知識

「企業版ふるさと納税」(地方創生応援税制)のしくみ
最終更新日:2023年7月27日
個人が対象の「ふるさと納税」は、自治体に対して2,000円を超える寄附をした場合に、所得税や住民税が控除されます。さらに、自治体によっては、お礼として特産品等を受け取ることができます。
「ふるさと納税の健全な発展を目指す自治体連合」(自治体有志の団体)は、ふるさとに帰省する人が多い8月を「ふるさと納税普及啓発月間」とし、11月を「ふるさと納税利用促進月間」として、さまざまな活動を展開しています。
これらは個人版のふるさと納税に関する取組みですが、企業版のふるさと納税もあります。企業版ふるさと納税の2021年度の寄附実績は、金額が約225.7億円、件数が4,922件で、金額・件数とも前年度実績を大きく上回りました。
以下では企業版ふるさと納税の概要をチェックしてみましょう。

(1)企業版ふるさと納税とは

「企業版ふるさと納税」(地方創生応援税制)は、自治体の地方創生に係る取組み(事業)に対して企業が寄附を行なった場合に、損金算入措置に加えて、税額控除が適用されるというものです。
寄附をする企業側のメリットとしては、税負担の軽減のほかにも、次のようなことが挙げられます。
・地方創生に貢献する企業としてのPR
・自治体との新たなパートナーシップの構築
・1,000万円以上の寄附についての褒章(紺綬褒章)
寄附は10万円から可能で、個人のふるさと納税とは異なり、自治体から寄附した企業への経済的な見返り(謝礼品の贈答など)は禁止されています。

(2)損金算入と税額控除

一般の寄附金は、法人税法上の損金算入限度額の範囲内でしか損金算入が認められませんが、国や地方公共団体に対する寄附金は、もともと損金算入が制限されません。言い換えると、その支出額の全額の損金算入が認められます。
企業版ふるさと納税は、全額の損金算入に加えて、さらに税額控除という特典を上乗せするものです。これにより、通常の寄附金の損金算入と合わせて、最大で約9割の税の軽減効果が得られます。
企業版ふるさと納税における税額控除割合は、下表のとおりです。
法人住民税 寄附額の4割を税額控除
(法人住民税法人税割額の20%が上限)
法人税 法人住民税で4割に達しない場合、その残額を税額控除。ただし、寄附額の1割を限度(法人税額の5%が上限)
法人事業税 寄附額の2割を税額控除(法人事業税額の20%が上限)
なお、自社の本社が所在する自治体や、地方交付税の不交付団体かつ三大都市圏の既成市街地等に所在する団体への寄附については、企業版ふるさと納税の対象とはなりません。

(3)税額控除を受けるまでの流れ

企業版ふるさと納税の税額控除までのおおまかな流れは次のとおりです。
1.自治体が地方版総合戦略を策定
2.自治体が地域再生計画を作成
3.内閣府が計画を認定
4.企業がふるさと納税
5.企業が税務申告
6.税額控除

2023年08月の「経理豆知識」トピックス