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棚卸資産の評価方法とメリット・デメリット

2月の経理豆知識

棚卸資産の評価方法とメリット・デメリット
最終更新日:2024年1月29日

(1)棚卸資産とは

棚卸資産とは、会社の生産や販売、管理活動に必要な資産で、販売するために一時的に保有している商品、製品、原材料、仕掛品、貯蔵品などの総称です。一般的に「在庫」と呼ばれています。
棚卸資産は、貸借対照表の借方項目である「資産の部」の「流動資産」に表示されます。
棚卸資産の取得原価のうち、当期の実現収益に対応する部分は、損益計算書に費用として計上されます。翌期に繰り延べられた部分は、棚卸資産として貸借対照表に資産計上されます。

(2)棚卸資産の評価方法

法人税法で認められている棚卸資産の評価方法として、「原価法」と「低価法」があります。
原価法は、棚卸資産の取得原価をもとに計算する方法で、6種類があります。
一方、低価法は、「原価法による評価額」と「期末時価」のいずれか低いほうを棚卸資産の評価額とする方法です。
各評価方法の特徴とメリット・デメリット等についてまとめたのが下表です。
原価法 1.個別法 期末棚卸資産の全部について、その個々の取得価額により評価する方法です。多品種を扱う場合は手間のかかる評価方法になります。比較的高価で、個々に在庫管理が可能な棚卸資産に適した評価方法といえます。
2.先入先出法 最も古く取得したものから先に払い出しが行なわれるものとみなして評価する方法です。価格上昇時には利益が多く、価格下落時には利益が少なく計算されるという特徴があります。
3.総平均法 期首棚卸資産と期中に取得した棚卸資産の平均単価で評価する方法です。会計処理は簡便です。
4.移動平均法 棚卸資産を取得するたびに平均単価を計算して期末の棚卸資産を評価する方法です。会計処理は複雑になります。
5.売価還元法 期末棚卸資産の販売価額に原価率を乗じて評価する方法です。主に小売業で採用されています。
6.最終仕入原価法 期末に最も近い日に取得した単価で期末棚卸資産を評価する方法です。計算が簡便ですが、価格変動が大きい場合には、実際の取得価額との差が大きくなります。棚卸資産の評価方法の届出をしない場合は、この最終仕入原価法が適用されます。会計上(企業会計原則)では正しい評価方法として認められていないため、基本的に上場企業等以外の中小企業で多く採用されています。
低価法 原価法による評価額と、事業年度終了時における期末時価を比較して、いずれか低いほうを評価額とする方法です。
一旦採用した棚卸資産の評価方法は、特別の事情がない限り継続して適用すべきものとされています。
なお、納税地の所轄税務署長の承認を受けることにより、上表以外の特別な評価方法を採用することも可能です。