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不要な固定資産があるときの処理のしかた

2月の経理豆知識

不要な固定資産があるときの処理のしかた
最終更新日:2024年1月29日
年度末が近づき、年に一度、この時期に自社の固定資産の稼働状況をチェックするとともに、新規購入、廃棄等を行なうという企業も多いのではないでしょうか。
そこで、不要な固定資産があるときの処理について確認してみましょう。

(1)固定資産の除却(じょきゃく)

使用していた固定資産が機能的に使用できなくなった場合、または使用できても陳腐化のために、ゴミ処理施設に持ち込んだり、産業廃棄物処理業者に引き取ってもらったりして廃棄等した場合には、固定資産除却損として、損益計算書の「特別損失」に表示します。
廃棄等するためにかかった費用(取り壊し費用など)も、固定資産除却損として経費に計上することができます。
固定資産を除却した場合、税務調査の際に廃棄等の事実や除却損の計上時期などがチェックされます。そのため、税務調査に備えて、廃棄を証明する資料(稟議書、産業廃棄物管理票など)を保存しておく必要があります。
なお、「除却損」も「売却損」も、同じように「特別損失」に表示されますが、除却損は対価を得ずに資産を一方的に消滅させる取引です。そのため、消費税法上の資産の譲渡等には該当しません。

(2)固定資産の有姿除却(ゆうしじょきゃく)

会計上は、帳簿から固定資産を除いたときに固定資産除却損を計上しますが、税務上は、固定資産を実際に廃棄するまでは除却損を計上(損金に算入)することはできません。
ただし、税務上「有姿除却」という考え方があり、一定の要件を満たせば除却時に損金算入することが可能となります。
税法上、次に掲げるような固定資産については、その資産につき解体、破砕、廃棄等をしていない場合であっても、その資産の帳簿価額から処分見込価額を控除した金額を除却損として損金の額に算入することができます。
  1. その使用を廃止し、今後通常の方法により事業の用に供する可能性がないと認められる固定資産
  2. 特定の製品の生産のために専用されていた金型等で、その製品の生産を中止したことにより将来使用される可能性のほとんどないことが、その後の状況等からみて明らかなもの
この処理は、現状の姿のままで除却するため、「有姿除却」と呼ばれています。
「処分見込価額」というのは、スクラップなどで引き取ってもらう場合の価額です。処分見込価額がゼロであれば、損金の額に算入するのは、帳簿価額そのものとなります。
たとえば、帳簿価額1,000万円の固定資産を有姿除却する場合に、処分見込価額が50万円だとすると、950万円を固定資産除却損として損金の額に計上することができます。
なお、今後、再使用する予定や他の用途に転用する可能性があると認められる場合などには、有姿除却が認められないこともあります。したがって、除却の判断は慎重に行なうことが重要です。

(3)固定資産の売却

固定資産を売却した場合は、売却価格が帳簿価額を超えたかどうかによって、経理処理の方法が変わってきます。
売却価格が帳簿価額を超えた場合には、その超えた部分の金額が固定資産売却益となるので、損益計算書の特別利益に計上します。
一方、売却価格が帳簿価額に満たない場合には、その満たない部分の金額が固定資産売却損となるので、特別損失に計上します。
売却のために直接要した費用がある場合には、その費用は売却価額から控除して固定資産売却損益を計算することになります。

(4)固定資産の買い換え

これまで使用していた固定資産を下取りに出し、新しい固定資産を取得するケースがあります。これを固定資産の買い換えといいます。
固定資産の買い換えは、旧固定資産の売却と新固定資産の購入という2つの取引を行なうので、経理処理もこの売却と購入を組み合わせたものとなります。